さくら学院 卒業生活躍の理由
「さくら学院」というアイドルグループを知っているだろうか。一般的に広く知られた存在ではないが、なかなかどうして勢いがある。実は卒業生の活躍が顕著なのだ。
顔を見れば「ああ、あの子か!」と思い出す人も多いはず。放送中の日本テレビ系「地獄先生ぬ~べ~」や公開中の映画「想いのこし」でステキなエクボの笑顔を見せている松井愛莉(17)や、10月から土曜お昼の長寿番組「メレンゲの気持ち」でサブMCを務め、新鮮な風を吹き込んでいる三吉彩花(18)は、ともに初期メンバーで11年の卒業生。身長170センチとスタイル抜群の2人は、ファッション誌の専属モデルとしても活躍している。
12年卒業の中元すず香(16)と在校生2人によるメタルユニット・BABYMETALは、今夏にレディー・ガガのアメリカ公演でオープニングアクトを務め、話題を呼んだ。北米のみならずヨーロッパでも会場を満員にする国際的人気を誇る。
初代生徒会長でJRAの武藤善則調教師(47)を父に持つ武藤彩未(18)は、ソロアイドルとして期待の存在。モデル、女優、アイドル…と卒業後の“進路”はさまざまだ。
グループを卒業した後、人気メンバーがアイドル時代ほどの輝きを放てなくなることも少なくないが、なぜ、『さ学』の卒業生は活躍するのか-。“名門”の理由を追った。答えは、そのものズバリ「学校」だからだ。
さ学は、10年にサザンオールスターズや福山雅治(45)が所属する芸能事務所「アミューズ」の選抜メンバーにより結成された。
最大の特徴は、メンバーの活動期間が義務教育終了の中学卒業までと決まっている“成長期限定アイドル”であること。AKBのように、例えば小嶋陽菜(26)がいつ卒業するのか取りざたされる、といった状況は、前提として生まれない。加入したときから卒業する日が決まっているのだ。
活動は有識者を招いての公開授業やライブ、派生ユニットとしての“部活動”が主。前述の「BABYMETAL」も、もともとは部活動の1つだった。活動方針は単純明快。チーフマネジャーの佐藤氏は「ライブなど普通ではできない体験をさせることで、個性を磨き、卒業後のソロ活動につながる育成を心がけています」と語る。アイドル活動自体が卒業後に向けた修行という位置づけで、そもそも“校則”からして「アイドルを超えた、スーパーレディーになる」と、アイドルのその先を見据えている。
グループとしてピークを目指すのではなく、活動を通して人間性を深めることが目的。その成長していく姿を「父兄」と呼ばれるファンは応援する。高校野球ファンがひいきの高校を応援し続けるように、人気メンバーの卒業後も集客に大きな影響はないという。
毎年4月に入学する新メンバーの選考基準は「演技以外の分野の成長の可能性が感じられる、個性を含めた成長の伸びしろがありそうな子」と佐藤氏。アミューズの子役たちから選ばれるため、基本的には演技志望が多いという。反対に松井は「演技だけは絶対にやらない」と公言していたが、活動を通して心境が変化し、結果的に卒業後は女優の道を選択。佐藤氏が繰り返す“可能性”を広げた。
いわば、会社を挙げた人材育成の場であり、芸能界の学校。松井は「さくらがなかったら、私何をしていたんだろうって思います。それくらい、いろいろ学んだし、得たものしかない。学校なので、さ学は」と振り返っている。
来年には、現行メンバー10人から一気に4人が卒業。スーパーレディとなった「さ学OG」が芸能界を席巻する日も遠くない、かもしれない。
(デイリースポーツ・古宮正崇)
