戦線離脱中でも広島・久本は大事な戦力

 広島の久本祐一投手が11月26日、名古屋市内の病院で左肘のじん帯移植手術を受けた。復帰まで約1年を要する見込みで、来年10月のみやざきフェニックス・リーグでの実戦登板を目標にしている。来季は球団と育成選手契約を結び、16年シーズンの完全復活を目指すことになった。

 久本は来年3月で36歳になる。本人にとってはもちろん、球団にとってもリスクの大きい決断だったのは間違いない。「カープにはありがたいし、申し訳ない気持ちでいっぱい。何としてももう一度、戦力になりたい」と神妙な面持ちで語る姿には、悲壮感が満ちていた。

 久本は12年オフ、戦力外通告を受けた中日から広島に入団。13年は中継ぎ、先発で43試合に登板し、球団初のCS進出に貢献した。ただ、今年は6月に左肘を痛め戦線離脱。わずか8試合の登板に終わった。当初は手術を回避する方針だったが、万全の状態で勝負したい久本の意思を、球団が尊重した。

 普通なら、この年齢で1年間のリハビリを要する手術は、球団が認めないだろう。貴重な左腕であることに加えて、久本の人間性が、この異例とも言える措置を後押ししたと考えている。

 久本の人間性を示す一例として、来年1月に菊池、戸田、庄司らを引き連れて、静岡県内で自主トレを実施することを挙げたい。

 今年1月に久本が立ち上げた自主トレを継続開催する。久本は「僕が皆を集めて始めたものですから、リハビリ中でも、やめる訳にはいかない。責任を持たないと。僕は走ることしかできないけれど、右手でトスを上げるくらいは手伝えますよ」と話した。

 今季大ブレークした菊池は「『オスッ!久本塾』に今年も行きます。久本さんにはずっと走ってもらいますよ」と冗談交じりで、久本への信頼を口にした。今季プロ初勝利を挙げた21歳の戸田も厚い信頼を寄せている。

 久本は来季のシーズン中についても「投げられなくても、若い選手に声をかけることはできると思う」とも話していた。マウンドに立つことはできなくても、久本は24年ぶりの優勝を目指す来季のカープにとって大事な戦力。自信を持ってそう言いたい。

(デイリースポーツ・山本鋼平)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

コラム最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス