プロアマが完全に雪解けとなる日は…

 元プロ野球経験者が高校、大学での指導に必要な学生野球資格を回復させる研修会の参加申し込みが、16日から始まった。昨年にプロアマ双方が歩み寄り、研修会がスタート。資格を回復した人が、高校生らに直接指導できるようになった。

 昨年は433人の元プロ野球経験者が資格を回復。現役時代、ヤクルトなどでプレーした金森栄治氏は石川・金沢学院東の監督に就任し、今夏は県大会で1勝を挙げた。

 だが、依然としてプロアマの間には“障害”も多く、特にプロの現役選手は戸惑いを感じることが多いようだ。資格を回復できない現役選手はシーズンオフなどに母校を訪れても、後輩らに指導することはできない。ある選手は開設するブログ上で高校生の親からの質問に対し、返答していいのか、関係者に問い合わせたこともあるという。

 今年7月の選手会総会では、プロの現役選手と高校生の交流が制限されている問題について、指導などが円滑にできるよう高野連に要望することを確認。その後、実際に働きかけを行っているとみられるが、16日の時点で進展はない。

 両者の間に溝が生まれたのは、61年にプロ側が社会人の有力選手を強引に引き抜いた「柳川事件」がきっかけ。プロ側の強い要望で昨年から雪解けが進んだが、高野連は急激な変化について慎重な姿勢を崩さない。

 だが、選手会の関係者は「現役選手の多くは、母校や後輩の役に立ちたいと思っている」と、その気持ちを代弁する。そして「監督のいない場で指導をしてはいけないとか、新しい野球道具を勧めるような営業目的の行為をしないとか、ルールを設ければいいのではないか。プロ側は絶対に問題行動をしてはいけない」と続けた。

 アマ側にもプロ側との交流を求める人は少なくない。ある高校の監督は「プロ野球の試合をテレビで見て勉強しろ、と言いたいけど、昔のように簡単に見られる時代じゃない。(現役プロの)OBが来ても話を聞くこともできない。何とかならないものか」と話す。

 可能性を秘めた球児が少しでもプロの技術を吸収できれば、日本球界全体のレベルアップにもつながる。野球界に携わる人間としては、双方が自然な形で交流できる日が来ることを望みたい。

(デイリースポーツ・佐藤啓)

編集者のオススメ記事

コラム最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス