マラソン惨敗 チームジャパンにはほど遠く強化の失敗を露呈

 「リオ五輪・陸上男子マラソン」(21日、サンボドロモ発着周回コース)

 日本勢は佐々木悟(30)=旭化成=の2時間13分57秒での16位が最高だった。石川末広(36)=ホンダ=は36位、北島寿典(31)=安川電機=は94位だった。

 世界の壁は希望の光すら見せてはくれなかった。大会最終日を飾る男子マラソン。メダルラッシュに沸いた今大会だったが、かつてのお家芸には厳しい現実が立ちはだかった。

 冷たい雨が降り、気温は20度を下回る肌寒いコンディションの中、レースはスローペースで進んだが、左アキレス腱に不安を抱えていた北島が序盤から先頭集団についていけない。最年長36歳の石川は、ハーフを過ぎて脱落。佐々木も27キロ過ぎからケニア・エチオピア勢を中心としたペースアップに一気に突き放された。

 男女マラソンで入賞なしは、08年北京五輪以来2大会ぶり。直近3大会ではロンドン五輪男子の中本健太郎(6位)しか入賞しておらず、苦しい状況が続いている。

 ロンドン五輪後の強化の失敗を示す惨敗だった。日本陸連は14年4月にマラソンのナショナルチーム(NT)を立ち上げた。お家芸復活へ、肝入りのプロジェクトだったが、それぞれのチーム事情を優先したい多くの実業団は非協力的で、あっという間に形骸化。リオ五輪代表の選考基準の中にも、当初はNTメンバーを優先すると書かれていたが、1年後に撤回するという異常な事態になった。

 NT合宿は年に1、2度程度しか行えず、一貫した強化はできない。宗猛男子マラソン部長は「実業団連合でも毎年2、3回合宿をしているが、それにも参加しないチームがほとんど。チームの方針もあり、実業団のくくりの中でも難しい。きちっとNTで合宿をやって、その中から選手を選ぶのが望ましいけど、現状はなかなかそれが難しい」を頭を抱える。

 左アキレス腱を痛めていた北島は本来なら「完走できるかできないかという状態」だったという。ただ、現状では補欠もおけない。「補欠がいれば、入れ替えもできたが…。(4年後の)東京は非常に暑く、故障も起こりうる。補欠がいないのは不安」(宗部長)と、バックアップ態勢も脆弱だ。NTで一貫した強化を進め、今大会で初めてメダルを獲得した競歩とは対照的な体制だった。

 宗マラソン部長は「東京は(現状を変える)きっかけにできるチャンス」と話し、麻場一徳強化委員長も「NTは必要だと思っている。結集が大事になる」と改革の必要性を説いたが、今回成果を示せず強化体制の刷新は確実で、先行きは不透明。かつてのお家芸の衰退が止まらない。

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