山本隆寛、TKOで東洋太平洋新王者

 「東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ」(2日、大阪府立体育会館第2競技場)

 挑戦者で同級7位・山本隆寛(24)=井岡=が、同級王者・川口裕(28)=グリーンツダ=を7回50秒TKOで下し、新王者に輝いた。両選手は4月5日に王座決定戦を行い、川口が2-1判定で勝利し、王座を獲得。指名試合でランク上位が対戦できない状況のため即再戦となり、山本がリベンジした。

 2回、山本は「練習していた。作戦を立てていた」と言う右アッパーをアゴに打ち込み、ダウンを奪った。両陣営の声援もヒートアップする中、攻めに出たが反撃を食らう。

 3回、今度は左カウンターをアゴに食らい山本が崩れ落ちた。ダウンの応酬に異様なムードに包まれた会場。4回を終わっての途中採点は3者とも37-37のイーブンとなった。

 「今回は負けられない」と中盤以降、山本の意地が爆発する。打ち合いの中で確実にヒット。カットした川口の右目、額からは大量の血が飛び散った。

 血みどろの中、それでも試合は続行。7回、玉砕覚悟で打って出た川口がスリップ気味に転ぶと、ダウン。そのまま、レフェリーは試合を止めた。

 「よっしゃー」とコーナーに上り新王者は絶叫。「何をしても楽しくなく、生きた心地しなかった。最高の夏休みになります。毎日海に行きます」とリング上で歓喜した。

 世界3階級王者・井岡一翔、元WBA世界ミニマム級王者・宮崎亮ら世界、東洋太平洋、日本の王座ベルト奪取は同ジム5人目。「今回、正直不安で。負けたらどうしようと…。今まで不安なんか感じたことないのに。でもこれで、この先を考えられる」と、ようやく年下の王者らに肩を並べ、安どした。

 天国の母・末子さん(享年53)にようやく朗報を届けられる。肺がんのため亡くなったのが10年9月、19歳の時。「一番つらかった。とにかく前向きで、いつも明るい母だった」と、最愛の母の笑顔を忘れたことはない。

 朝、線香を上げるつもりが「気持ちが高まり過ぎて」忘れてしまった。「帰ってから、いい線香を上げられます」とかみしめた。

 「ずっと体も気持ちも張っていたのでしんどい。しばらく休みます」と心身ともに回復を優先させ、年内に初防衛戦を行う予定。「目標は世界王者」と、高らかに宣言した。

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