イチ、敵地の祝福に「うれしい戸惑い」

三回の打席でイチローのカッブ超えを伝える敵地の大型スクリーン=セントルイス(撮影・小林信行)
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  「カージナルス6-2マーリンズ」(15日、セントルイス)

 マーリンズのイチロー外野手(41)は「2番・右翼」で出場し、4打数2安打だった。今季14度目のマルチ安打で5試合連続安打とし、打率は・256。日米通算安打は4193本(日本1278本、メジャー2915本)となり、前日まで並んでいたメジャー歴代2位のタイ・カッブの記録を抜き、同最多のピート・ローズの4256本まであと63本とした。

 一回の打席で右前打を放ち、日米通算安打でカッブの記録を超えた。待っていたのは予想だにしなかった敵地ファンの反応だった。4万4706人の観客が一斉に立ち上がり、偉業を称える。

 「(反応が)徐々に大きくなるのは体感できたからね。僕は次のプレーに気持ちはいってましたけど、戸惑い、うれしい戸惑いでしたね」

 一塁上のイチローは右手でヘルメットを取り、ゆっくりと周囲を見渡しながら感謝の意を伝えた。

 カッブに並んだ翌日の第1打席で結果を出した。「こういうことって早い方がいいし、形としてもきれいだからね」。続く三回の打席では一塁強襲の安打を放ち、今季14度目のマルチ安打。打席に立った際には場内の大型スクリーンが改めて日米通算安打数の“カッブ超え”を知らせた。

 「日米通算の記録なので、アメリカ人としては気に食わないこともあるだろうし、いろんな声があることは想像できるけども、こんなふうにしてくれるのは、ジーンときますよね」。

 『ジーンときますよね』と発した時のイチローの口はかすかに震えていた。

 サプライズは試合後のクラブハウスでもあった。

 「チームメートが日本酒で乾杯してくれたんです。マギーが用意してくれたんですけど、粋なはからいですよね」。

 イチローによると、日本酒はオフに飲むことはあるが、シーズン中は生涯初めてだという。「(二塁手の)ゴードンなんてお酒飲まないのに飲んでくれてうれしいですね」。短いスピーチで感謝の意を伝えたという。

 カッブは約100年前にプレーした選手。イチローはサインボールをもっていたり、野球殿堂博物館を訪れた際に使用されていたバットを手にしたことはあるなど、“接点”はあるが、「これから知りたいなと思う。クーパースタウンに行く楽しみが1つ増えたかな、と思います」と言った。

 「セントルイスという場所が特別な場所になった。いつもそうだけど、ストーリーはファンの人やチームメートが作ってくれる。僕の記録がそれを作るわけではない。それをまた実感したということですね」

 目の周りをほんのり赤くしたイチローがしみじみ言った。

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