【レース】公開模擬レース盛況の理由

 地元住民が数多く駆けつけ、さながらお祭りムード。8日に千葉県白井市のJRA競馬学校で行われた公開模擬レースは、かつてないほどの盛り上がりを見せた。とはいえ、普段の競馬場とは全く種類の違う盛り上がり方。まるで我が子を見守るかのように、温かい視線が競馬学校騎手課程32期生に注がれていたのは印象的だ。

 JRA史上7人目の女性ジョッキーを目指す藤田菜七子さんの存在も大きかっただろうが、実際に足を運んでその空気を肌で感じた記者としては、むしろJRAの努力が一番の要因ではないかと思う。予算に余裕が生まれた関係で、今年は近隣住民にチラシ5万枚を配布。駅や公的機関にもポスターを貼り、とにかく競馬学校の存在をアピールしまくった。

 イベント化も大きい。タレントのゴルゴ松本、元騎手の細江純子さんが駆けつけ、公開予想を実施。模擬レース予想の的中者にはプレゼントを提供するなど、初心者には優しい“プチ・ギャンブル”の体験も行った。横手焼きそば、ホエー豚のベーコン串など屋台が出店。実に廉価で美味だったことに記者も驚いた。

 喫煙所に居合わせた老人は、女性ジョッキーの卵がいることを知らなかったという。「今年来たのが初めて。それにしても焼きそばはうまかったな。祭りの焼きそばよりうまい」と満足げにつまようじを口にくわえながらニヤリ。昨年までは競馬ファンが中心だった来場者も、今年は様相が違ったように思う。

 最終的には例年を3倍以上も上回る1050人が集まった。駆けつけた初心者がどれだけ実際の馬券購買者となるかは分からない。ただ、ギャンブルの枠に入る競馬はまだまだ未経験者が多く、まずは存在そのものを知ってもらうことが重要。地元民なら誰もが競馬に興味を持っているような環境をつくるのも悪くない。

 ファン増加の手法は恐らくCMやマスコミの力を利用するのが最も効果的。ただ、こうした形で地道に文化として根付かせることを放棄してはならない。笑顔があふれていた今年の公開模擬レース。常に馬券の勝ち負けで不安定な精神状態を過ごしている記者も、いいリフレッシュとなった。

(デイリースポーツ・豊島俊介)

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