「宣伝会議賞」にザ・フライの今野和人
日本最大の公募広告賞として知られる「第53回宣伝会議賞」の贈賞式が8日、都内で行われ、グランプリにはテレビCM部門に応募したお笑いトリオ「ザ・フライ」の今野和人(31)が選ばれた。
応募総数は実に46万7936点。並み居るプロのクリエイターを相手に、2度目の挑戦で堂々のグランプリに輝いた今野は「(CMは)台本なので、ネタに通じるものがあるので、普段やって来たことが意味があったんだなと。外に通じる結果になって良かったと思います」と穏やかに笑った。
国際基督教大学を卒業し、趣味は読書という“インテリ芸人”。キャッチコピーに興味を持ち、3年前に1度応募したものの、その時は一次審査も通らなかったという。それでも「芸人として、まだ全然活躍できてないんですけど、やっていく中で、普段のネタ以外のこともしたいなと思って挑戦しました」と動機を明かした。
「ザ・フライ」はプロダクション人力舎所属で、09年に結成。普段はメンバーの雨ちゃん(29)と2人でネタ作りを担当している。
「人力舎」で「今野」といえば、相方の高橋健一被告(44)の逮捕でピン芸人となった元キングオブコメディの今野浩喜(37)が有名。「向こうが上すぎるんで…。10年近く芸歴が離れてて、普段会うこともほとんどないので、間違えられることもないです」としつつ、「もう1人、今野がいるというのを覚えていただきたいなと思います」と胸を張った。
これまでの実績は11年の「キングオブコント」で準決勝進出を果たしたのが最高。「芸人として賞をいただいていない状態で、他のもので賞をいただくのはちょっと気恥ずかしいんですけど、これを励みに、(賞金の)100万円の一部は、お笑いの何かに使いたいですね」と話した。
昨年の年収は「3、4万円ぐらい」で、アルバイトで食いつなぐ毎日。賞金100万円については「事務所にも相方にも、絶対渡しません。年金を滞納して、親に払ってもらってるので、まずそれを返したいなと」と切実な思いを口にした。
今後の芸人としての目標は「キングオブコントで準決勝が最高なので、今回はそれを越えたい」と気合十分。さらに「台本を書くような仕事もしてみたいです」と、放送作家などにも興味を示した。
今回は計73本の作品を出品。「72本がキャッチコピーで、CMが1本だけ。それが通ったんで…、自慢ですね」と笑った。グランプリに輝いた作品は、「『JTBの旅行券』を大切な人へ贈りたくなる広告表現」がテーマ。会心の作品と思いきや、「日本語を直したいところが3カ所ぐらいあった。助詞の使い方が気持ち悪い、とか…」と、日本語へのこだわりも口にした。
