宮崎監督、思い出の作品は「ハウル」

 今月1日に、現在公開中の最新作「風立ちぬ」を最後に引退の意向を表明した宮崎駿監督(72)が6日、都内で会見を開いた。

 無数のフラッシュを受け着席した宮崎監督は「僕は何度も『辞める』といって騒ぎを起こしてきた人間ですので、『どうせまただろう』と思われていると思いますが…あの…今回は本気です」と正式に引退を宣言。思わず照れ笑いを浮かべ、左手で頭をかいた。会場の報道陣からも大きな笑いが起こった。

 今回の決断とこれまでとの違いについて聞かれると宮崎監督は笑いながらマイクを取り、「前作の『崖の上のポニョ』から5年かかっています。その間、ずっと映画を作っていたわけではありません。脚本を書いたり美術館について考えたり。5年かかるんです。次は5年じゃすまないと思う。6、7年かかる。あと3カ月でぼくは73歳になります。すると、7年後だと80歳になります」と年齢的に自信がないことを理由にあげた。

 また、今までは一番思い出のある作品について聞かれると、「トゲのように残っているのは『ハウル』です。ゲームの世界をドラマにしようとした。格闘でした。スタートが間違いだったのかな」と笑いながら答えた。

 宮崎監督はまた、「児童文学に大きな影響を受けてこの世界にはいった。基本的に、子ども達に『この世は生きるに値するんだ』と伝えるのが自分たちの仕事の根幹になければいけないと思ってきました。それは今も変わっていません」と話した。

 イタリアのメディアは「監督はイタリアを舞台に映画をよく作っているが、それはイタリアが好きだからなのか」と聞かれると、「僕はイタリアは好きです。まとまっていないところも。友人もいるし、料理もうまいし、女性もきれいだし」と語った。

 会見の後半で、映画監督になって良かったことはと聞かれた宮崎監督は「一度もない」と回答。アニメーターになって良かったことなら何度かあるといい、「いい風が描けたとか、いい水の動きが描けたという時には、アニメーターはそれだけで2、3日は、少なくとも2、3時間は幸せな気分に浸れる」と述べた。それに比べて監督業は「最後に判決を待たなければいけない」と話し、商業的な成功を問われることへの厳しさについて語った。

 宮崎監督は1日、イタリアで開催中の「第70回 ベネチア国際映画祭」で行われた「風立ちぬ」の公式会見で、スタジオジブリの星野康二社長(57)を通じて引退の意向を電撃発表した。会見場には600人の報道陣が殺到。ムービーカメラの数は70台にのぼり、日本のみならずアジア、ヨーロッパなど11の国と地域からもメディアが駆けつけた。

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