【野球】今年の鯉ドラフトに疑問符なし

 広島は10月22日に行われたドラフト会議で7選手を指名した。球団首脳は「100点以上。緒方監督にとっては150点以上だろう」と、満足げに振り返った。今回のドラフトを考察すると、球団首脳の言葉により納得させられた。

 21日の本番前日に行われたスカウト会議。緒方監督は即戦力の補強を求めた。必要なのは投手だった。

 15勝を挙げた前田健太投手はポスティング制度を利用した大リーグ挑戦の可能性があり、11勝を挙げた黒田博樹投手は現役続行か引退かを熟考中。ダブルエースの去就が未定のままで、さらに今季シーズン途中からセットアッパーとしてフル回転した大瀬良大地投手が、来季は先発復帰する予定。先発陣はもちろん、ブルペン陣も懸念が多いオフになっている。

 重複が予想される中、単独指名に成功したドラフト1位・岡田明丈投手(大商大)は今年の春秋リーグ戦で12勝0敗と、急成長を遂げた。ドラフト2位・横山弘樹投手(NTT)は多彩な変化球を駆使し、ドラフト1位候補にも挙がっていた。

 上位2名をガチガチの即戦力投手で固めた。緒方監督は岡田、横山に開幕ローテ入りを期待している。岡田は中継ぎとしての適性も評価されており、セットアッパーの座を任せる可能性もある。いずれにせよ、思惑通りの指名に成功した。

 ドラフト6位・仲尾次オスカル投手(ホンダ)も即戦力左腕だ。今季は中継ぎ左腕が駒不足だった。戸田隆矢投手は敗戦時のロングリリーフ、ローテの谷間に先発した。飯田哲矢投手、江草仁貴投手はともに劣勢時の登板機会が多かった。リードした場面で逃げ切るため、特に左の強打者用のワンポイントとして、仲尾次にかかる球団の期待は大きい。

 ドラフト4位・船越涼太捕手(王子)、ドラフト5位・西川龍馬内野手(王子)は、即戦力という意味合いからは少し外れる。社会人出身だが船越は21歳、西川は20歳と若い。広島は27歳の会沢翼捕手、36歳の石原慶幸捕手の併用が続いている。二遊間は25歳の菊池涼介内野手、26歳の田中広輔内野手の同学年コンビが不動のレギュラー。船越と西川は当面はレギュラーが故障などで離脱した際のバックアップ要員として経験を積み、数年後にレギュラーを担う、という位置づけだろう。

 ドラフト3位・高橋樹也投手(花巻東)は球団関係者が「他球団に指名されず残っていた」と喜んだ左腕。高松北高校から昨年にドラフト3位入団した塹江敦哉投手とともに、近い将来の1軍での活躍が期待されている。位置づけとしては、2011年に樟南からドラフト3位指名を受けた戸田に近いものがある。

 ドラフト7位・青木陸捕手(山形中央)は“栗原2世”として育成する方針だ。プロでは内野手に専念し、一、三塁を守る予定。リストが強く、遠くに飛ばせる大砲候補。同郷の日大山形からプロ入りし、4番に君臨して1082安打153本塁打をマークした栗原健太内野手(今季限りで退団)と同じ成長過程を、球団は期待している。

 いずれにせよ、球界では時々起こる「なぜこの選手を指名?」という疑問符がつかない選手ばかり。即戦力選手は緒方監督の起用法、それ以外はファームの育成力が問われる面々だ。彼らの今後に大いに期待したい。(デイリースポーツ・山本鋼平)

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