大橋トリオ「世界中の人に聴いてもらえる音楽を」

70年代の良質な洋楽シンガーソングライターものを彷彿させる音楽性で、洒脱かつメロディ豊かなサウンドを紡ぎ続けてきた大橋トリオ。最近では亀梨和也と土屋太鳳主演の映画『PとJK』(2017年3月公開)の音楽制作やアーティストへの楽曲提供など幅広く活動。近年はロック色の強いアルバムを伴って『フジロック・フェスティバル』などの野外フェスにも出演する一方、ニューシングル『りんごの木/宇宙からやってきたにゃんぼー』は、Eテレで9月末からスタートした5分間アニメ『にゃんぼー』の主題歌も含めた、大人はもちろん、子どもも楽しめる仕上がりに。ロック、ジャズ、フォーク/カントリーなどの様々な要素を自在にブレンドし、来年活動10周年を迎える大橋トリオこと大橋好規に、新作や近年の動向について語ってもらった。

取材・文/吉本秀純 写真/Ayami

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──今回のニューシングルに収録されている『宇宙からやってきたにゃんぼー』と『ぼくのピコリーナ』は、タイトル通りに大橋トリオ流の童謡ソング的な仕上がりで、こちらも今までにありそうでなかった曲調で驚きました。

「『宇宙からやってきたにゃんぼー』はEテレのアニメ『にゃんぼー』のオープニング・テーマとして書いた曲で、テレビでは20秒のものを伸ばして2分半くらいにしましたね。最初は子ども向けっぽいアプローチで始まって、途中にちょっと大人な演奏を入れるというアレンジにしてみました」

──たしかに子ども向けっぽい曲かなと思って聴いていると、途中から渋いブラジリアン・ジャズ的なアレンジに転じて大橋トリオらしい音になっているように思いました。『ぼくのピコリーナ』もチェンバー(室内楽)調のアレンジが施されていて、単なる子ども向けで終わらせない楽曲になっているなぁと。

「その『にゃんぼー』のなかでは劇中の音楽もやらせてもらっていて、そこに出てくるちっちゃいキャラクターのテーマみたいな感じで作った曲で。今回のシングルの雰囲気に合うかなと思ったので、自分ヴァージョンとして歌詞も付けて作り直したんです。だから、子ども向けだけど、大人もじっくり聴けるような要素を入れた、ちゃんとしたものにしたいと思っていましたね」

──同じシングルに収録されている『りんごの木』は、4曲目に『apple tree~りんごの木 English ver.』として全編英語詞でアレンジも変えたヴァージョンも収録されていて、メロディと楽曲の良さが別角度で際立っていますね。

「『りんごの木』は何年か前に作った曲で、ずっと温めていたんですよね。大事な曲だから単体でスポットが当たるような出し方をしたいなと考えていて、今回シングルを出そうとなったので、じゃあ、今かなと。それで、もともと英語がハマるだろうなと思って作っていた曲でもあるから、全英語詞でもやってみたかったんですよね。アレンジも『apple tree』の方はエレキ・ギターとかも入れて、日本語の『りんごの木』はマンドリンとかも入ってほぼアコースティックな感じになっています」

──今年の2月に発売された10枚目のアルバム『10』はロック・テイストの強い作品だったので、今回のシングルを聴いて、また違うモードへと移りつつあるのかなとも感じましたが。

「いや、そうでもなくて今回は「りんごの木」という曲があったことが大きかったですね。今はまた年内に完成させなきゃいけない次のアルバムを作っている最中です。間に合うかな、という感じですが(笑)」(※2017年2月15日にアルバム『Blue』発売決定)

──結構締切が差し迫ってきてますね(笑)。

「もっと日々ライフワークのようにやっていればいいものの、僕はそれが出来ない人間で。いつも締め切り間近になってやるんですけど、最近はそれで出来るなというのがわかってきちゃって(笑)。以前は締め切り間近でやるしかないとは思いつつも、本当に出来るのか不安もありながら最初の数日間を休んでいるところがあったんですけど、最近は最後の数日で出来るのがわかってきたから、その前の期間も余裕を持って構えていられるようになりましたね。頭の切り替えが、しっかり出来るようになったというか」

──もちろん、その何もしていないように見える期間も重要なんでしょうけど。

「その間もアイデアとかは考えているんですけどね。と言いながら、昼間から酒ばっかり飲んでますけど(笑)」

──大橋トリオは2009年のメジャー・デビューから数年は年2枚ペースでアルバムを発表し、2014年にベスト盤をリリースして以降は少し落ち着いてきたところはありますが。

「そういう契約でしたからね、ハッキリと言ってしまうと。だから、最近は年1枚+αのスローペースに変えてもらって、今回のシングルが今年のその+αになるんじゃないかなと思います」

──DVDには、林正樹(ピアノ)や武嶋聡(サックス)といった名プレイヤーも含んだ大所帯のビッグ・バンド編成によるohashi trio&THE PRETAPORTERSでの2015年のライブを80分弱に渡って収めていますが、こちらも改めて大橋トリオの音楽性の高さをジャズ色の強いアプローチで示した好内容になっているなと思いました。

「ホントはストリングスも欲しいなと思っていたんですけど、もともとジャズは好きでいつかビッグ・バンドでやれたらなと最初から考えていたので、その気が熟したという感じですかね。『大橋トリオ』という名前もジャズをやっていたことを匂わせるためと言ってきたし、ジャズと言っても自由な感じで音楽をやっているというニュアンスやアプローチとしての意味合いというか、ライブでもすごく遊んで毎回違うことになるようにしてきたところはジャズ的だったかなと思います。自由度が高いというか、メンバーにもいろいろなことを求めますし」

──なるほど。ちょうど2014年にベスト盤が出て以降はひと区切りが付いたというか。基本的な音楽性は変わらないんですけど、大橋トリオの多彩な魅力の打ち出し方がよりアーティスティックなものに変化してきたような気もします。

「まぁ、ベスト盤には区切りの意味がありましたし、その次からは『ニュー大橋トリオ』にしなきゃなというのはありましたね。実際に、その次に出したアルバム『PARODY』(2015年1月)ではいろいろと凝ったことをやったし、あの時にはちょっとやり過ぎたかもと思っていたんですけど、最近に聴き直してみたら意外と良かったですね」

──現在制作中のニューアルバムも含めて、今後の活動でこういう部分をもっと強く打ち出していきたい、みたいに考えていることなどはあるんですか?

「もうちょっとこういうものがやりたい、という目標はあって。ザックリと言うと世界的に聴けるものというか、日本だけではなく世界中の人に聴いてもらえる音楽を作るのが一番の理想なんですけど、そこにはやっぱりまだ全然届いていないなというジレンマは毎回ありますね。でも、年齢もいい年齢になってきたので、いいかげんにそういうものをちゃんと作って次の展開を考えていかないとなと思っています」

──ピコ太郎やBABYMETALのように極端にキャラクターが立ったものやインストなどを除くと、海外でも普遍的な感じで楽しまれている日本発のポップ・ミュージックというのは、まだまだ成功例が少ないですよね。

「できれば日本語のままそういう風に聴けるもの、というのが理想なんですけどね。無理矢理に英語で歌うとかじゃなくて。今それがやれている人はまだいないし、日本のJ-POPシーンはガラパゴス化していてその感覚が染みついちゃっているので、そこからどうやって抜け出せばいいのかを日々考えていますね」

──次のアルバムもとても楽しみになりますが、年明けの1月27日には「NHKホール」にて大阪では初となるビッグ・バンド編成でのライブが実現しますね。

「東京でも1公演のみでやってきたんですけど、リハーサルは4日くらいかけて大所帯でバッチリとやるから毎回もったいないでしょ?って思っていたんですよね。人数が多いので移動して各地を回るとなるとカロリーが高くなるんですけど、今回はせめて大阪だけでもということでブッキングしてもらいました。なかなか観られないものだと思いますので、たくさんの人に来てもらえればうれしいですね」

『ohashiTrio & THE PRETAPORTERS NEW YEAR PARTY LIVE 2017』のチケットは12月17日10時から発売。

(Lmaga.jp)

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