再出発の実力派 モラトリアムの挑戦
今年3月に2ndシングル『ゴースト人間』をリリースし、5月6日の仙台公演を皮切りに初のツアーを行うユニット・モラトリアム。2015年結成の新人アーティストだが、ボーカル・悠は4年前にThe Sketchbook(ザ・スケッチブック)のドラマーとしてメジャーデビュー。一方、キーボード・藤井洋も以前からポルノグラフィティらのサポートを務めるなど、そろってキャリアを積んできた実力派。2人とも今年28歳になるが、バンドを始めた頃の15歳くらいの音楽にかけるアツさ。彼らのこの熱量はいったい何なんだろう?
「歌は昔から好きで。ドラムをしていた頃から、自分はこうじゃない、自分の思いを聞いて欲しいという気持ちを抱え続けていました。ドラムは中学の時からやってたし、もちろん今さらパートチェンジしてゼロからスタートするのは怖かった。でもやりたいことをやらないと後悔する!と思い、洋ちゃんに相談してみたんです」(悠)
「僕もいろんなアーティストのサポートをしながら、メインとして立ってみたいと思ってて。音楽をやっている意味は、やっぱりその方が大きいから。大学生のときに本気でバンドを組んでたんですけど、それが解散してその夢は一回諦めたんです。でも常にチャンスはうかがってて、(悠に相談されたのが)ちょうど良いタイミングでした」(洋)
「モラトリアム」というバンド名には、猶予期間はない、今を一生懸命に生きたら時間なんて足りないでしょという戒めの意味が込められているという。そんな彼らのシングル『ゴースト人間』は、「生きながら死んでる」という歌詞にもあるように、自分を押し殺しがちな人が多い今という時代に恐怖を感じ、純粋な部分を欠かさないよう、20代後半くらいの世代に発信するため、制作したという。ある意味サポートとしての立場から、メインのポジションでスタートすることを選んだ彼らが歌うから、説得力がある。
「これまで『変わりたい』みたいな内向的な曲が多かったんですけど、『ゴースト人間』は、『そうじゃないだろ、変わっていこう』というメッセージを伝えたくて挑戦した曲です。実際、僕自身にも言い聞かせてることですね。ドラムからボーカルになって、フロントマンとして前に立つ責任や不安はすごい。でも、自分が発信したものを認めてもらうというやりがいは大きいです」(悠)
ただ、年齢もキャリアも若手バンドとは違う。がむしゃらに熱いだけでなく、かなりクレバー。戦略家の一面も持っている。
「他のバンドと戦うとなると、僕たちにはゴリゴリのギターもないし「バンドの泥くささ」みたいなものでは絶対に勝てない。でも、今バンドが好きな人たちは『このバンドが好き、あのバンドも好き』という感じで、ある意味あんまりバンド同士で差別化できてないなと思うことがあって。なので、ほかのバンドと違うところを見せていかないといけない。僕たちの場合、それはただ単純にシンプルでかっこいいライブだなと。汗かいて踊って『わー楽しかった!』というライブというよりも、『モラトリアム、なんか素敵だったな、また見たいな』と感じてもらえるようなステージングにしたくて。そのためには演奏のクオリティで戦っていくしかないと」(洋)
「今の音楽シーンは無料でダウンロードできたり、動画で聴けたり・・・と良くも悪くも多様化していて、変遷期だと思うですけど、そのなかでやっぱりエモーショナルな部分は失わないようにしないといけないというか。シンプルに真摯に、自分たちが信じるものをやり続けたら、いつか報われるんじゃないかなと思うんです」(悠)
「モラトリアムとしてのキャリアは浅いので、どんどんライブを重ねていかないと10、20年やってる人と戦えない。時代がどんだけ進んでも、生演奏だけはなくならないと思っているので。僕たちの強みはライブ。『ゴースト人間』にも通じることだけど、やっぱりライブが一番人間味を感じられるし。だから一度見に来てほしいですね」(洋)
そんな彼らのライブが5月14日、大阪・南堀江の「Knave」で行われる。信じた道で生きていくという気合いに満ちた、迫力あるステージになりそうだ。
(Lmaga.jp)
