済美・安楽が30球 スカウトうならせた

 第85回選抜高校野球大会(22日開幕・甲子園)の出場校による甲子園練習が17日、スタートした。済美(愛媛)のプロ注目152キロ右腕・安楽智大投手(2年)は初の甲子園で30球のピッチング。3季連続甲子園制覇を狙う大阪桐蔭(大阪)は半年ぶりとなる聖地の感触を確かめた。

 “四国の怪物”が、いきなり聖地で強烈なインパクトを残した。報道陣や関係者が見守る中、MAX152キロの済美のエース・安楽が、迫力十分の30球。金子昂平捕手の派手なミット音が甲子園に響き渡った。

 「とても投げやすいマウンドだった。緊張はしませんでした」

 黒土の感触だけではなく、注がれる視線さえ楽しんでいた。晴れ晴れとした表情であこがれの場所へ上がり、剛速球を投げ込んだ。最初の3球は高めに浮いたが、その後は制球も安定。直球を28球、スライダーを2球。「球が伸びていたし、低めに決まった。調子が上がってきた」。持ち時間ギリギリまで、夢のマウンドを満喫した。

 バックネット裏からはプロ3球団のスカウトがみつめていた。ロッテ・永野チーフスカウトは「すごい。うなりを上げている。腕を振ってもバランスが崩れない」と、初めて見た“金の卵”を絶賛。まさに名刺代わりの30球だった。

 卒業までに160キロ到達を目標にする安楽。今大会は自己最速152キロの更新を狙う。上甲正典監督(65)は「春は150キロは出ないかもしれない」と“スピード競争”に消極的だが、本人は「自分は超えたいです」とキッパリと言い放った。

 18日に明石商、20日に智弁和歌山と練習試合を行い、投球フォームを最終確認。大会第5日(26日)の広陵との初戦に備える。「まずは1つ勝ちたい。できれば0に抑えたい」。大満足でデモンストレーションを終えた2年生右腕。次は大観衆のどよめきを楽しむ。

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