【宝塚記念】キタサン投票1位馬の逆襲

 「宝塚記念・G1」(26日、阪神)

 上半期のグランプリ。ファン投票で1位に輝いたのは演歌界の大御所・北島三郎の所有馬キタサンブラックだ。昨年の菊花賞馬で、今年は天皇賞・春をV。“サブちゃん人気”もさることながら、馬も人気に見合うだけの力をつけてきた。最大のライバルは同世代の二冠馬ドゥラメンテ。前走は落鉄しながらも2着を死守し、能力の高さを示した。クラシックホースの再戦に注目だ。

 勝負のときが来た。2週前追い切りが行われた11日。ファン投票1位に輝いたキタサンブラックを担当する辻田厩務員は、「二冠馬との差がどれだけ縮まっているのか。楽しみです。」と決戦を前に熱い胸の内を吐露した。

 強烈に意識するその相手は、昨春の皐月賞とダービーを圧勝したドゥラメンテ。ライバルが不出走だった最後の一冠・菊花賞を制したブラックだが、皐月賞は3着、ダービーは14着に敗退。“怪物”と評された末脚になすすべもなく敗れた。

 ただし、人間がそうであるように、競走馬の成長過程にも個体差がある。デビュー時からブラックの調教役を務める黒岩は、昨春の状態をこう振り返る。「当時は体が緩くて。厩務員さんには“能力はあるけれど(本格化は)先の馬だよ”と言っていたんです。そんな状況にもかかわらず、デビューから無傷の3連勝でスプリングSを制覇。驚きましたね。皐月賞のときも、特別にいい状態だとは思わなかった。今思えば、ダービーのころには目に見えない疲れがあったのだと思います」。

 ひと夏越して、心身ともにパワーアップ。昨秋、菊花賞馬となったブラックは、その後もメキメキと地力を強化。前走の天皇賞・春で2つ目のG1を手に入れ、タイトル数はドゥラメンテと肩を並べた。再びライバルと相まみえる今回。1週前追い切りを見届けた辻田厩務員が、あらためて決意を口にした。「“楽しみ”と言ったのは、とにかく状態がいいからなんです。2度負けているので、あくまでも挑戦者の立場ですが、馬は完成期に入ってきた感じがします。今の状態でどこまでやれるか、本当に楽しみです」。待ちに待ったリベンジマッチ。8万2121票の後押しを受けて“怪物”の追撃を振り切ってみせる。

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