【菊花賞】ブラック距離不安はねのけV

 「菊花賞・G1」(25日、京都)

 2冠馬ドゥラメンテが不在で混戦ムードが漂うなか、キタサンブラックが馬群を切り裂き、2着リアルスティールの追撃をしのぎ切った。重賞2勝の実績を持ちながらも、母父サクラバクシンオーという血統が不安視されて5番人気の評価に甘んじたが、見事に長丁場を克服した。セントライト記念馬によるVは84年の三冠馬シンボリルドルフ以来、31年ぶり10頭目。今後は有馬記念(12月27日・中山)への参戦を視野に入れる。なお、3着はリアファルだった。

 長距離も克服できる-。そう信じた先に栄冠が待っていた。キタサンブラックがクラシック最終章を制した。

 道中は5番手のインで我慢し、向正面から流れが急激に変わっても手綱は押さえたまま。直線もインにこだわって抜け出し、先頭でゴール板を貫いた。「慌てずに乗ろう、と。距離はどうかなと思っていたけど、信じて乗った」と北村宏は笑顔を見せる。「ゴールしたあと、心臓がメッチャ痛かった」と清水久師は苦笑い。開業7年目、13度目の挑戦でG1初制覇をかなえた。

 師の強い信念が、厳しいデータを打ち破った。「覆してやろうと思っていた」。セントライト記念の勝ち馬は84年シンボリルドルフ以来、菊花賞を制していない。また母父サクラバクシンオーの血統背景から、長距離も不安視されていた。「自分も外から見ていたら“大丈夫かな?”と思ったでしょう。でも、この馬のことは知り尽くしている。身のこなしとフットワーク。(前走の)2200メートルに800メートルをプラスするだけ。距離は持つと思っていた」。ハードな調教でスタミナを強化し、決戦に備えた。

 人の結びつきが勝利を引き寄せた。新馬戦V時の背には、今年2月に命を絶った後藤浩輝騎手がいた。鞍上は「後藤さんが“これからが楽しみな馬”と言っていた。いろいろな人の縁を感じる」と感慨深げ。レース前日、北島三郎オーナーと食事をした清水久師は「馬への情熱がある人。勝ちたい気持ちが伝わった」と期待に応えられたことに安どした。

 『信用は生む。無限の資本』。師は、小学生のころから好きだった言葉を厩舎に掲げている。「信用を築くのは時間がかかる。でも、なくすのは一瞬」。オーナー、調教師、騎手の強固なトライアングルで菊の大輪を咲かせた。「このあとは有馬記念か香港か。香港は来年でもいい。中山は合いますから」とグランプリへの参戦を示唆する。距離の壁は克服した。次は古馬撃破を誓う。

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