「エルムＳ・Ｇ３」（１６日、札幌）

　重賞４勝目へ、心身の充実ぶりを示した。昨年２着のクリノスターオーは１２日、函館Ｗで単走。気難しさを見せた１年前の攻めとは一転、馬なりで１Ｆ１３秒１を計時する“大人の調整”で態勢を整えた。一方、マリーンＳを制したソロルは２歳馬を相手に２馬身先着。昨年のマーチＳ以来の重賞２勝目を狙う。

　明らかに昨年と違っていた。クリノスターオーの最終デモは函館Ｗで単走。角馬場からコースに向かう途中で少し停止したが、ムチで促されると勢い良く飛び出した。１年前に立ち止まった１～２角は、行きっぷり良く通過。向正面は引っ張るほどの勢いで、直線もスッと手綱を緩めただけだ。気持ち良く四肢を伸ばし、５Ｆ６８秒４－４０秒０－１３秒１を計時した。

　騎乗した中塚助手は「いい状態で直線に向けて前向きに走れていた。上がりの息の入りも全然違っていましたね」と声を弾ませる。「先週も負荷をしっかりとかけたし、きょうは調整くらいで大丈夫。肌ツヤもいいし、いい筋肉をしている。当週に関しては、疲れを残さず、一番元気な状態で行きたいですからね」と説明した。

　爪の不安が解消してきたことが、心身の充実ぶりにつながっている。装蹄師と密に連携を取り、普段の乗り方やケアを工夫。負担の大きいダートを減らし、ウッドでの調整を増やした。今年から朝昼のカイバに、爪の成長を促すサプリメントを導入。脚元のダメージを軽減すべく、削蹄の段階から蹄鉄まで細かく気を配ってきた。

　ハードな調教が中心だった昨年までの反省から、今は気力と体力の充実に力点を置き、メリハリの利いた調整を心がけている。「今、思えば頑張らせ過ぎた。競馬も調教もベストな形を探しながらやっています。一戦一戦が勝負ですから」。昨年２着のリベンジへ向けて意欲を示した。