後藤JRA理事長インタビュー【1】

 昨年はJRA創立60周年の記念の1年として盛り上がった中央競馬。さらなる飛躍を目指す今年は、4日の中山・京都金杯で幕を開ける。昨年9月12日付で第15代・JRA理事長に就任した後藤正幸氏(63)に、今年の抱負を語ってもらった。

  ◇  ◇

 後藤正幸理事長(以下、後藤)「中央競馬ファンの皆さま、明けましておめでとうございます。昨年末の有馬記念には豪華なメンバーがそろい、JRA創立60周年という節目の1年のフィナーレを、最高の形で締めくくることができました。ファンの皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました」

 -昨年9月に前任の土川健之理事長からバトンを受けて理事長に就任されました。当時のお気持ちから。

 後藤「大変重い責任を負ったんだなあと。特に昨年はJRA創立60周年という節目の年、しかも午(うま)年。例年にも増していろいろな取り組みをやっていこうというなかで、理事長の職を拝命しました。正直、大変なことになっちゃったなあと思いましたね」

 -この3カ月余を振り返って。

 後藤「これまでとはだいぶ生活のサイクルが変わりましたから、それに慣れるのにやっとでしたね。12月に入ったころになって、ようやくリズムに乗れてきたかなという感じです」

 -昨秋のG1シーズンは入場、売り上げともに好調だった。

 後藤「おかげさまで、ほぼいい結果が出たのではないかなと思っています」

 -そのなかで印象深い出来事を挙げると。

 後藤「有馬記念の枠順の公開抽選を行ったことですね。既に海外のレースでは行われていましたが、国内でもそういったショーアップをしてみては…と、マスコミをはじめ関係者からの声があって、これを実現できたことは大きいですね。まさに関係者の協力とファンの支えがあってのこと。今の競馬を象徴している一面でもあり、良かったなと思っています」

 -今後も行う予定ですか。

 後藤「全く白紙です。JRAとして初めて行ったことですし、マスコミからもアイデアがあり、我々もいろいろなアイデアを出してきたなかで、まずはやれることをやってみようとしてやったこと。当然、その検証をしなければいけない。いいこともあるし、悪いこともある。それらを総合的に勘案しながら、その後のことを決めたいと思っています。特に今回は創立60周年という節目の年で、その最後を飾る有馬記念という意味合いがあってこそのことでしたからね」

 -ジャパンCは、昨年は外国から3頭しか出走がなかった。数多く参戦していた以前に比べるとここ数年は寂しさを感じますが、今年から賞金が3億円に上がります。

 後藤「07年にパート1国となり、まさに国際G1競走としての格を維持しながら行ってきました。その競走の質を保ちながら、優良な馬が参加することが前提ですが、時代の変化とともに大変な部分も出てきました。今は国と国との間で国際競走に出走する馬の奪い合いが激しくなってきました。そのなかで昨年30回目を迎えたジャパンCを取り巻く環境は変わってきたと思います。ただ、確かに(ジャパンCが)始まったころに比べると頭数的には物足りないところもありますが、欧米、特に欧州からはそれぞれのエリアを代表する馬が出走してくれました。1頭ずつではありますが、それは大きな意味があると思っています」

 -勧誘活動が厳しくなってきた。

 後藤「以前は凱旋門賞が終われば、ヨーロッパの馬はみんな休んでいましたが、今は凱旋門賞で勝ち負けのところまでいった馬はブリーダーズC、メルボルンCを目指し、そこからジャパンCか香港かという流れが明白になってきました。そのなかでどうやって我々が外国馬を勧誘していくか。欧米駐在の職員が頑張っていますが、東京にいる人間も凱旋門賞やブリーダーズCなどへ出掛けて行って、直接勧誘しなければならない。現実にそういったレースへ役員を派遣しているし、私も12年にメルボルンCへ行って関係者に声をかけてきました。レッドカドー(8着)がまさにそうです。賞金面のインセンティブを与えることもあるが、一方で一人一人がプロモートできる態勢を築きながら、いい馬を招致し、ファンの皆さんにいいレースを見てもらう。そのための努力が必要です。その度合が今までより、もっと重要になってきたかなと感じています」

 -今年は昨年以上の期待をしていいですか。

 後藤「もちろんやり足りないことはもっとあると思っています。競馬をやっている以上、いいレースを提供するのが我々の仕事。みんなで力を合わせてやっていきます」(【2】につづく)

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