【VM】大魔神佐々木氏悲願のG1制覇

 「ヴィクトリアマイル・G1」(12日、東京)

 大魔神が歓喜の雄叫びをあげた‐。元メジャーリーガー・佐々木主浩氏(45)の愛馬ヴィルシーナ(牝4歳、栗東・友道)が、1番人気に応えて、ついにG1タイトルを奪取。これまでG1では4度の銀メダルに泣いてきたが、念願のG1ウイナーの仲間入りを果たした。佐々木氏にとっても8度目の挑戦で初のG1奪取。待ちに待った歓喜の瞬間に思わず涙をこぼした。

 「行け!行け!!」。スタンドから声を限りに叫ぶ。こん身の力で両手をたたく。愛馬ヴィルシーナが5度目のG1挑戦で悲願成就。ついに、大魔神がG1のお立ち台を射止めた。

 「勝ったと思ったが、これまでも“まさか”があったからね。いやあ、良かった。ホッとしました」。佐々木氏は喜びと安どが入り交じった表情を見せた。

 息詰まるゴール前の攻防。先頭に立ったマイネイサベルをかわす。今度は外から昨年の覇者ホエールキャプチャが襲いかかってきた。最後は首の上げ下げに。フィニッシュラインではライバルを鼻差だけ(約12センチ)抑えた。「自分の競馬ができれば勝てると思ったが、思ったほど伸びなかったので焦りました。またやられたかと思って…」。大喜びの二人の息子が、駆け寄ると「何でも買ってやるゾ!」と大盤振る舞いを約束した。

 現役時代は抑え投手として活躍。“大魔神”の異名を取り、日米両国で通算381セーブをマークした。引退後の06年にホッカイドウ競馬で馬主デビュー。その名もミスターフォークで7勝を挙げた。JRAでは、これで重賞4勝目となった。

 「母(ハルーワスウィート)に魅せられた」と言う佐々木氏は、ヴィルシーナの異父兄ファルスター、異父弟ランギロアも所有し、1歳の異父弟も共同で所有。4月9日に生まれた全妹の当歳も、「ぜひ手に入れたい」と目を輝かせる。

 昨年は桜花賞、オークス、秋華賞と牝馬3冠、全てでジェンティルドンナの2着に敗れた。続くエリザベス女王杯でも、レインボーダリアに首差届かずG1で4戦連続銀メダル。佐々木氏の誕生日が“2月22日”、現役時代の背番号も“22番”だったことから「2着ばかりだよ」と自虐的に話したこともあったが、ようやくG1の大舞台で“1着”を手にした。

 「野球のお立ち台の方が楽。自分のやることだからね。きょうはもう緊張したよ。でも、こんな汗ならいつでも流したいね」。全身汗びっしょりで喜びをかみしめた。

 今後については「これで十分です」と笑いを誘ったが、「夢が広がりますね。とにかく無事で。きょうはいいお酒が飲めます」。生みの苦しみから解放された大魔神が豪快に笑った。

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