大瀧詠一氏が急死…解離性動脈瘤

 歌手で音楽プロデューサーの大瀧詠一(おおたき・えいいち)さん(65)=本名大瀧榮一=が30日午後5時半ごろ、東京都瑞穂町の自宅で倒れ、搬送先の病院で解離性動脈瘤(りゅう)のため死亡したことが31日、警視庁などへの取材で分かった。通夜、葬儀などは未定。アルバム「A LONG VACATION」やシングル「幸せな結末」を大ヒットさせ、曲提供、プロデュースなど幅広い活動で日本ポップス史を彩った巨人だった。

 福生署などによると、大瀧さんは当時家族と一緒で、家族は「リンゴを食べていてのどに詰まらせた」と話しているという。また、関係者によれば、大瀧さんは自宅で妻と談笑していた際に突然倒れ、眠るように意識を失ったともいう。

 119番通報で救急搬送する際には既に心肺停止状態で、同日午後7時ちょうどに死亡が確認された。

 大瀧さんは1970年、細野晴臣、松本隆、鈴木茂と組んだ伝説のロックバンド「はっぴいえんど」でデビュー。アルバム「風街ろまん」などの作品は、後続に大きな影響を与えた。71年にソロデビューし、72年のはっぴいえんど解散後はナイアガラ・レコーズ設立、プロデュース、曲提供、ラジオなどに活動の幅を広げていった。

 大物プロデューサーのフィル・スペクターをはじめとするアメリカン・ポップス、クレージーキャッツや小林旭、故トニー谷らのジャパニーズ・ポップスや喜劇に造詣が深かった。その博識を生かした「ナイアガラ・サウンド」を作り上げ、「ナイアガラー」と呼ばれる熱狂的なファンを生んだ。

 76年に山下達郎、伊藤銀次とのアルバム「ナイアガラ・トライアングルVol.1」、82年に佐野元春、杉真理との同「2」を発表するなど、後輩ミュージシャンの売り出しに力を注いだ。ソロとしては81年のアルバム「A LONG VACATION」がミリオンセラーとなった。同作収録の「君は天然色」は、何度もCMに使用されている。

 作曲家としても松田聖子「風立ちぬ」、森進一「冬のリヴィエラ」、薬師丸ひろ子「探偵物語」、小林旭「熱き心に」などの大ヒット曲を連発し、80年代を代表するヒットメーカーの1人に。85年にははっぴいえんどを一時的に再結成した。

 80年代後半からは寡作になるが、97年にはドラマ「ラブジェネレーション」の主題歌「幸せな結末」が大ヒット。ドラマ「東京ラブ・シネマ」の主題歌で2003年に発表したシングル「恋するふたり」の後は新作を発表せず、自作のリイシュー(再発)やラジオ番組の制作および出演、インタビューや対談などが主な仕事になっていた。

 13年は8月にNHK‐FMでパーソナリティーを務める「アメリカン・ポップス伝パート4」をオンエア。10月27日には都内で行われた伊藤と黒沢秀樹のユニット「uncle‐jam」のライブに姿を見せ、伊藤と旧交を温めるなど元気だっただけに、あまりにも突然の死だった。

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