夏八木勲さん死去 映画やドラマで活躍

 映画やテレビドラマなど多くの作品で名脇役として活躍した俳優・夏八木勲(なつやぎ・いさお)さんが、すい臓がんのため11日午後3時22分に神奈川県鎌倉市内の自宅で死去していたことが12日、分かった。73歳。

 夏八木さんは昨年11月にがんが見つかり、余命も宣告されていたが、生涯俳優を貫くという強い意志のもと、入退院を繰り返しながら、亡くなる直前まで仕事を続けていた。

 関係者によると、夏八木さんは昨年11月、体調不良を訴え病院で診察を受け、すい臓がんが見つかった。同時に余命も宣告されたが、周囲には病気を隠し仕事を続けた。告知は、フジテレビ系ドラマ「ゴーイング マイ ホーム」の撮影の最中で、終盤の撮影で体調を崩したものの、周囲につらい表情を見せることなく最後まで出演した。

 体調が悪いときには入院することもあったが、基本的には通院治療を続けながら、仕事は続けた。だが、自宅療養中だった今月10日に体調が急変し、最後は夫人と娘にみ取られながら天国へと旅立った。苦しむことはなく、穏やかな表情だったという。

 病魔に侵されても、仕事を第一に考えていた。最後に公の場へ姿を見せたのは3月24日の群馬県での「高崎映画祭」。数日前の18日にも都内で芸術選奨の贈賞式に出席した。その際、デイリースポーツ

の取材に「この年齢で、こういう賞を頂くと“さらにいい演技をできるように頑張らねば”という気持ちになる」と俳優魂をみなぎらせた。「いい演技をするためにも、日ごろから食事など気を使っている」と話していた。

 また、近日中にクランクイン予定だった2本の映画があった。衣装合わせも済ませ台本も読んでいたこともあり、亡くなる直前まで演技について熱く語っていた。

 夏八木さんは、NHK連続テレビ小説「鳩子の海」で脚光を浴び、映画「野性の証明」「戦国自衛隊」などでの豪快な演技で活躍した。「ゴーイング‐」が、がん発覚後、最後に撮影した作品となった。ただ、それ以前に撮影した未公開映画が、今年7月公開の「終戦のエンペラー」をはじめオダギリジョーの主演作など6作品あり、これらが遺作となった。

 遺体は自宅のリビングに安置され、夏八木さんの生前の意向により、葬儀は親族のみの密葬で、弔問や供花もすべて辞退した。プライベートを表に出さず最後まで役者として命をかけてきた俳優・夏八木勲。人生のフィナーレも自分らしい道を選んだ。

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