柴咲コウ、主演ドラマは「愛情に包まれていい作品」 直木賞作家が原作書き下ろし

 女優・柴咲コウ(35)が31日、都内で行われた、11月5日放送の主演ドラマ「ABC創立65周年記念スペシャルドラマ『氷の轍』」(朝日系、後9・00)の制作発表に、共演の沢村一樹(49)、余貴美子(60)、宮本信子(71)と登場した。サプライズゲストとして瀧本智行監督(50)も登壇、5人で釧路ロケの思い出話に花を咲かせた。重厚なテーマながら和気あいあいとした雰囲気の撮影だったとあって、柴咲は「愛情に包まれていい作品にできた」と手応えを口にした。

 北海道・釧路を舞台に、殺人事件を追う新人刑事・大門真由(柴咲)が、自身の孤独に向き合いながら事件を追い、人間模様の糸をほどいていく重厚で繊細な人間ドラマ。直木賞作家・桜木紫乃氏が原作を書き下ろし、柴咲ら豪華スターが集結した。

 撮影は2月に極寒の釧路で20日間にわたり敢行された。雪が降るのを待つ「雪待ち」もあったといい、柴咲は「風が強くて、寒さが痛くて…」と振り返ったが、「20日間、あっという間でした。毎日、撮影してホテルに帰って、ストレッチして、朝起きて撮影…っていうルーティンができていたのでやりやすかった。現地の雰囲気や気候を肌で感じる撮影でした」と現地だからこそできた演技であることを強調した。

 同作では北原白秋の詩「他ト我」をモチーフに、人間の中に潜む「孤独」や「屈託」も描かれる。

 瀧本監督は、柴咲に起用理由を聞かれた際に「孤独そうで屈託がありそうに見えた」と伝えたことを告白。柴咲は「すごく失礼だなと思いまして。全然さわやかじゃないってことですよね~」とむくれたが、柴咲ならではの光と影の表現が存分に生かされた仕上がりに。柴咲は「孤独は一人で抱えるもので、共有するものじゃない。埋められるのは自分自身の心と思い」と35歳の一人の女性としての思いも吐露した。

 会場には主人公をイメージした鶴の氷像も登場。柴咲は「すごいですね。たたずまいが何かを訴えかけるような感じ」と氷に触り、釧路に思いをはせているようだった。

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