【人間再発掘シリーズ】三船敏郎、波乱の生涯 松田美智子が描く

 映画「レッド・サン」のオフショット。三船を「日本の兄貴」と慕ったアラン・ドロンと=提供・三船プロダクション=
 「MIFUNE THE LAST SAMURAI」の米国版ポスター=提供・三船プロダクション=
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 海外で最も知名度の高い日本人俳優・三船敏郎が来年でデビュー70周年、そして没後20年を迎える。米国ではハリウッド殿堂入りやドキュメンタリー映画製作など「ミフネ再評価」の機運が高まっている。その節目の年を前にして、三船の生涯を著書に記した作家・松田美智子が、不世出の名優の素顔を共演者やスタッフ、家族らへの綿密な取材を通して描く。=敬称略= (取材・構成 松田美智子) 

 今、国内外で三船敏郎が注目されている。三船は来年で没後20年を迎えるが、この冬にはハリウッドのウォーク・オブ・フェイム(名声の道)に名を刻まれ、映画界に顕著な功績を残した俳優として殿堂入りする。また、現在、欧米を中心とした多数の映画祭にドキュメンタリー映画「MIFUNE THE LAST SAMURAI」(スティーブン・オカザキ監督)が出品上映されている(写真は米国版ポスター)。

 同作の日本公開は来年になるが、海外における三船の人気は不動のものであり、映画の評判も上々なことから、アカデミー賞ノミネートが期待される。

 国内では鎌倉市の川喜多映画記念館において、来年1月まで「世界のクロサワとミフネ」展が開催中である。さらに、三船プロダクションの全面協力で、三船の秘蔵写真を収録した初の写真集も来年上旬に刊行予定だ。

 「世界のクロサワ」と「世界のミフネ」が組んで生み出した作品は16本。各国で高い評価を受け、国際映画祭で数々の賞を受賞している。完璧主義者で知られる黒澤は、多くの俳優たちにとって、極度の緊張を強いられる監督だったが、黒澤は三船にだけは演技の注文をつけなかった。「三船敏郎なくして黒澤明なし」と言われるように、三船は黒澤が構想した人物像を自在に体現することが出来る絶好の表現者だった。

 三船はまた、黒澤の映画だけでなく、時の一流監督たちにも愛され、起用されて、時代劇から現代劇まで幅広く演じてきた。なかでも三船の殺陣は、いまだに誰も真似が出来ないと言われている。「用心棒」「椿三十郎」で見せた豪快な殺陣は、圧倒的な迫力があり、その動きはキャメラのフィルムに映らないほどスピーディーだった。

 一方で、三船には、酒乱や離婚騒動、プロダクションの内部分裂など、スキャンダラスなエピソードも多い。酒に酔って大暴れした武勇伝も数々あるが、実際は周囲の人々が恐縮するほど細やかな気配りの人であり、律義でスター気取りを嫌った。几帳面(きちょうめん)で無類の掃除好きでもあった。

 来年は三船がデビューしてから70年。スティーブン・スピルバーグ監督が「ミフネのような俳優はいない」と語ったように、三船の存在感には国境を越えた強烈なインパクトがあり、時を経た今、再評価されている。

 デイリースポーツ本紙では、11月2日の連載から、三船敏郎という国際的スターが残した偉大な足跡を辿(たど)る。

 ◆「MIFUNE THE LAST SAMURAI」◆

 今月25日から米5都市で劇場公開。米国、カナダ、英国、ベルギーなど15以上の海外映画祭での上映も決定。国内外の映画関係者へのインタビューと貴重な映像資料で三船の人生に迫る。

 共演俳優では香川京子、司葉子、土屋嘉男、加藤武、八千草薫らが証言。黒澤映画のスクリプター・野上照代、三船の長男・三船史郎、黒澤監督の長男・黒澤久雄、第1回三船敏郎賞の役所広司、米映画界からは巨匠監督、スティーブン・スピルバーグとマーティン・スコセッシも登場。ナレーションはキアヌ・リーブスが務める。

 三船の孫であり、三船プロダクション取締役、プロデューサーの三船力也(28)は「2020年の生誕100周年に向けて三船ムーブメントを活発化して行きたい」と意欲的。東京五輪の年は三船イヤーでもある。

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