行定監督「美しい熊本を取り戻したい」

 地震で被害を受けた15日の熊本城の天守閣(上)。相次ぐ地震で16日には屋根瓦がほとんど落ちていた=熊本市(共同通信社ヘリから)
 会見した(左から)別所哲也、レスリー・キー、行定勲監督、LiLiCo=東京・有楽町の外国特派員協会
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 熊本市出身の映画監督・行定勲氏(47)が19日都内で、「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア 2016」(6月2~26日)の会見に出席。映画祭のクロージング作品である、監督作「うつくしいひと」は熊本を舞台にしており、地域の復興のために作品を役立てたいと語った。この日、熊本から帰京した行定氏は現地の状況を生々しく報告した。

 その表情からは強い使命感が見て取れた。「美しい熊本を取り戻したい」。行定監督は訴えた。

 映画祭で上映される「うつくしいひと」は、熊本県を舞台に、橋本愛(20)や高良健吾(28)ら、熊本ゆかりの俳優陣が集結して昨年10月に撮影した作品。

 県内の美しい自然や、熊本城などがロケ地として使われている。その熊本城は地震で無残な姿となっており、「熊本城がああいう状況になったとき、『撮っておいてよかった』と思った。シンボルでしたから。かつての美しさがここ(映画の中)にはあって、心が張り裂けるような気持ち。これを、どう取り戻すかがテーマ」と神妙に語った。

 行定監督は15日に仕事のため熊本入りし、市内のホテルで本震に被災。その後、被災地の現状を目に焼き付け、南阿蘇に住む両親の無事を確かめ、18日には高良らと給水支援を行った。この日未明に車で福岡まで移動し、早朝便で帰京した。

 作品は22日まで期間限定でネット上で無料公開されており、現地では涙ながらに「美しい熊本城を映画に撮ってくれて、ありがとう」と伝えてくれた人もいたという。「映画の力として、この作品を見ることで熊本に力を与えてもらえるように、チャリティーなどを模索している」とチャリティー上映を行う意向だ。

 現地での実感として「県民がおびえているのは余震」と心身両面のストレスを強調。「ビルがミシッとすると身構える」とPTSDに近い精神状態になっている自分にも気付いたという。余震のため「倒壊していなくても家に住めない。見た目で分からないことを浮き彫りにしていかないといけない」と語り、これからも被災地の深刻さを訴えていく決意を述べた。

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