舘ひろしコラム(5)渡から唯一の教え
【おれタチの言葉】12月13日に青山のブルーノート東京で40周年記念ライブ「JUST ONE NIGHT」を開催します。1日2回公演なんですが、即日完売したと聞きました。ありがとうございます。
本当は人前にでるのが、あまり好きじゃないんです(笑)あがり症なんですよ。ソロのステージは2013年4月30日の石原プロ創立50周年記念コンサート以来、2年半ぶりかな。そのときは29年ぶりでした。ちゃんとできるのかどうか怖いです。そんなこと言っちゃいけないんだけど。
でも、大人の雰囲気でやるのもいいね。40周年にふさわしい場所かな。本店はニューヨークにあるジャズクラブですから。
今は俳優が歌うって少なくなったよね。時代がそうなんじゃないかな。俳優が歌うってことが、あまり認められてないでしょう?俳優は俳優だけ、みたいなさ。マジメ過ぎるよね、今の俳優さんって。それがいいことでもあると思うんだけど、僕らの時代は俳優やって歌は適当に、みたいなさ。で、芝居も適当に、って(笑)そういう時代だったと思うんです。
存在感を大事にしよう、というね。今の人たちって、うまい芝居をすることがすごく大事、って気がするな。僕は渡(哲也)から「うまく芝居をするな」と言われた。お芝居のことで、あれこれ言われたことないけど、あの1回だけだね。
渡が「ひろし、最近、芝居がうまいな」って怒られた。「よくないよ」と。俳優というか、人生丸ごと演じろってことだと思うんですよ。うまい俳優はいっぱいいるよ、そこで競ったって何にもならない、ってことじゃないかな。
ドラマ「西部警察」に出演して、1回殉職して、鳩村役で戻ってきたときかな。1回経験してるし、芝居が面白くなるじゃない?で、いろんな小芝居をし出したときに渡が言ったんです。「うまくなるな」ってね。
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舘ひろし(たち・ひろし)1950年3月31日、愛知県名古屋市出身。74年に岩城滉一らとバイクチーム「クールス」を結成。75年に同チームの選抜メンバーでバンドを組み、ボーカルとしてデビュー。俳優としても76年に映画「暴力教室」でキャリアをスタート。84年にはソロ歌手として「泣かないで」が大ヒット。83年に石原プロモーション入り。主な出演作に「西部警察」や「あぶない刑事」シリーズ。身長181センチ、A型。