ルパン三世の敵はフジコと不二家?

 この10月、30年ぶりに「ルパン三世」の新作TVシリーズが放送されることが決定した(日本テレビでは10月1日の深夜1時29分から放送)。

 もはや説明不要な国民的人気アニメ。だが覚えているだろうか?1971(昭和46)年10月から放送された第1作目のシリーズ、青緑色のジャケットに身を包んだルパンは視聴率で大苦戦を強いられ、わずか23回で終了してしまったことを…。

 「ルパン三世」「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」「新世紀エヴァンゲリオン」といった国民的人気アニメは皆、最初の放送で視聴率的に大苦戦し、再放送でやっと人気が爆発したという共通点を持つ。もう一つの国民的人気アニメ「ドラえもん」にしても、日本テレビで最初にアニメ化された時には、裏番組の「マジンガーZ」に惨敗して、わずか半年で終了した。

 その後に繰り返された再放送で、多くの支持を集め、やがて大人気となったのだが、今、あらためて本放送当時のテレビ欄を見直してみると、やはり恐るべき「収まりの悪さ」を感じる。この曜日のこの時間にルパンを観たいか?と。

 アダルトな雰囲気、少しエッチなルパン第1作目は「日曜日だョ・ドリフターズ!!」の後番組として放送開始。日曜午後7時30分からの放送だった(日本テレビ系)。現在「ザ!鉄腕!DASH!!」が放送されている枠だ。ルパン終了後もテレビのチャンネルを回さないままだと(当時はまだ、リモコン式は普及していない)、アンニュイなルパンとはあまりにテンションが違う森田健作主演の青春ドラマ「おれは男だ!」が始まってしまうという流れだ。

 裏番組もフジテレビが午後6時から「いなかっぺ大将」→「サザエさん」→「アタックNo.1」→「アンデルセン物語」とアニメ4連発。TBSも「好き!すき!!魔女先生」→「ふしぎなメルモ」→「ガッツジュン」→と子ども向け番組を連発し、7時30分からの不二家1社提供枠では、ルパンと同日スタートで奈良富士子主演のラブコメディドラマ「美人はいかが?」をぶつけてくるという不運。この並びでは、ちびっ子も若者もルパンには注目してくれない…。

 劇中、峰不二子に翻弄され続けるルパンだが、視聴率戦争では奈良富士子と不二家の合体攻撃にも敗れ、わずか半年弱でブラウン管から姿を消したのだった。

 ◆高木圭介(たかぎ・けいすけ)1969年、神奈川県川崎市生まれ。93年に東京スポーツ新聞社に入社し、プロレスや格闘技、社会事件、レジャー担当の記者、デスクを歴任。2014年にnMo(エヌエムオフィス)所属のライター兼コラムニストに転身。昭和期の風俗、広告、映画、ラジオ、テレビ番組の研究をライフワークとする46歳。公式ブログは「高木圭介のマニア道~浮世のひまつぶし~」(http://ameblo.jp/takagi-mania/)。

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