貫地谷しほり 涙の初戴冠「夢のよう」
デイリースポーツなど在京スポーツ7紙で構成する東京映画記者会が制定する「第56回ブルーリボン賞」の授賞式が11日、東京・イイノホールで行われた。「くちづけ」で主演女優賞を獲得した貫地谷しほり(28)は、今回が映画賞初戴冠。「夢のようです」と喜びを爆発させた。「横道世之介」で主演男優賞を受賞した高良健吾(26)ら受賞者が出席した。
自らを祝福する客席を眺め、貫地谷は小学校の卒業式を思い出していた。
「そのころから夢なんてなくて。中学の時に今のマネジャーにスカウトされて、初めて“女優になりたい”という夢を持てて、26歳の(撮影)時に26本目の作品で賞をもらえた。夢のようです」。瞳はみるみる潤んだ。
02年の「修羅の群れ」から12年。演技力を高く評価され、映画界には欠かせない存在となったが、意外にも主演も映画賞も初めてだ。
「くちづけ」は、一昨年解散した劇団「東京セレソンデラックス」の人気舞台を映画化。貫地谷は、知的障害者が暮らすグループホームに住む、7歳の心を持ったまま成長した30歳の女性を好演。竹中直人演じる父との親子愛を繊細に表現した。
貫地谷は「おかしくも悲しい世界を描いた脚本の宅間孝行さんと、本当に素晴らしい世界をつくった堤幸彦監督。テンションの高いキャストと、本当に濃い2週間だった」と撮影を振り返り、感謝した。
来年は主演男優賞の高良とともに、ブルーリボン賞の司会を務める。歴代の主演賞受賞者は、翌年の司会を嫌がる傾向にあるが、貫地谷は「何でだろう。根拠のない自信があって、すごい楽しみ」とキッパリ話した。
来月には「偉大なる、しゅららぼん」「白ゆき姫殺人事件」と2本の公開を控える。これからも夢は広がるばかりだ。
