「餃子の王将」社長狙撃死…行動把握か
19日午前7時ごろ、「餃子の王将」を展開する京都市山科区の王将フードサービス本社前で、同社の大東(おおひがし)隆行社長(72)がうつぶせで倒れているのが見つかった。大東社長は拳銃で撃たれており、病院に運ばれたが、間もなく死亡が確認された。京都府警捜査1課は殺人事件として捜査本部を設置した。大東氏は気さくな人柄の名物社長で、2009年には本紙インタビューでも独自の経営理念を明かしていた。
大東社長は、車の左側約1メートルの位置で倒れているのを、午前7時ごろ出勤してきた従業員により発見された。右胸1カ所と左脇腹2カ所の計3カ所から出血。検視の結果、心臓損傷による失血死とみられている。周辺には薬きょうが複数落ちており、自動式の拳銃で至近距離から撃たれたようだ。
捜査本部によると、大東社長は午前5時半ごろ、山科区の自宅を車で出発。約1キロ離れた本社前の駐車場に午前5時40~45分ごろ到着した直後に銃撃されたとみられる。
王将フードサービスによると、午前5時半ごろ、従業員5人が出社してすぐに外出したが、不審な点には気付かなかった。従業員が午前6時ごろ社長の携帯電話にかけたが、応答がなかった。防犯カメラはなかった。
大東社長は、毎朝ほぼ同じ時間に出勤し本社前の掃除などをしており、本紙インタビューでも「朝は5時半に起きる。それから会社に来て、9時になったら前日の成績をチェックしたり、クレームの対応をする」「やっぱり朝から動かんと。昼からその日のことを考えても遅いわ」と話していた。捜査本部では、社長の生活状況を把握した人物が待ち伏せした可能性があるとみている。また、金品が残されていたことから強盗目的ではなく、社長や会社への恨みが背景にあるとみて、トラブルの有無を捜査する。
大東社長は2000年4月に社長に就任し、王将をデフレ下で急成長させた。徹底した現場主義で、本紙にも「僕は“三現主義”。現場、現物、現実を常に意識する」と経営理念などを語っていた。
