海老蔵「真四谷怪談」で次こそカンヌ
歌舞伎俳優の市川海老蔵(35)が映画「真四谷怪談」(2014年公開)に主演することが13日、分かった。
「一命」(11年)でも組んだ三池崇史監督(52)と再びタッグを結成。現代の売れない俳優が劇中劇で主人公・伊右衛門を演じるという設定で、女性を踏み台にしてのし上がろうとする“色悪”の男を生き生きと演じている。海老蔵は「一命」では果たせなかったカンヌ国際映画祭出席に向けて、早くも意欲を燃やしているという。
「真四谷怪談」は、売れない俳優・長谷川浩介(海老蔵)が恋人の有名女優の力を借りて舞台「四谷怪談」の主人公・民谷伊右衛門役を勝ち取る設定だ。他の出演女優にも手を出す長谷川の姿が次第に劇中の伊右衛門と重なり、愛憎入り乱れた世界が展開される。
最近は子煩悩な父のイメージが定着しつつある海老蔵だが、女優との交際や夜遊びのイメージもまだまだ強いだけに、うってつけの役柄。先祖の七代目市川團十郎が「東海道四谷怪談」で確立した色悪を受け継ぐ身でもあるだけに「伊右衛門は美しさがちょっとあって、それが悪いっていうところが惹(ひ)かれる要素ですね」と、イメージを膨らませた。
撮影は4月に行われたが、2度目のタッグとあって三池監督の信頼も絶大で、初の現代劇に挑戦した海老蔵を「困難を楽しんでいました。現場で中心に立つ姿はアートです」と絶賛。ホラー、恋愛、バックステージというエンターテインメント要素がたっぷりで、海老蔵は「誰も見たことがない斬新な『四谷怪談』になると思う」と、完成を楽しみにしている。
製作のきっかけは、「一命」が11年のカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されながら、舞台のために欠席した海老蔵が周囲に「悔しい」を連発したこと。これに三池監督が「じゃあ今度は連れて行ってやる」と約束したのだ。「真四谷怪談」は海老蔵にカンヌのレッドカーペットを踏ませることができるのかも、注目される。
