りえ女優魂!2日できっちり観客総立ち

 女優の宮沢りえ(40)が10日、東京芸術劇場(東京都豊島区)で上演再開された舞台「おのれナポレオン」で、軽度の心筋梗塞のため降板した天海祐希(45)の代役を務め上げた。重責を任された宮沢は、代役が決定した8日から稽古に参加して、この日午後7時から“初日”を迎えた。本番当日まで、わずか2日間の準備期間でステージに立つという“離れ業”となったが、見事にやってのけ充実の笑顔を浮かべた。

 スタンディングオベーションの観客からだけでなく、主演の野田秀樹(57)や内野聖陽(44)、山本耕史(36)ら共演者5人からも、女優魂を見せつけた宮沢に惜しみない拍手が送られた。

 2時間20分の本番を、目立ったミスなく終えてからのカーテンコール。ともにピンチを乗り切った仲間から拍手を向けられた宮沢は、両手を顔にあて、笑顔をはじけさせた。

 ステージでは、天海の降板や代役に関する説明は皆無。出演者があいさつをする場面もなかったが、劇中では、現実をリンクさせたような、コミカルな掛け合いが展開された。

 宮沢「セリフは入ってるわね?」

 山本「お前に言われたくないよ!!」

 野田「役者って稽古すれば、1日か2日でうまくなるものなの?」

 宮沢「とりあえず、やってみましょう!!」

 天海の緊急降板から、激動の3日間を過ごしたキャスト陣の“リアル”な言葉に、客席からは大きな笑い声が起こった。

 宮沢の気迫を見届けようと、会場の931席は満席。早朝から販売枚数未定の当日券を求めて、150人以上が列を作った。東京都杉並区の演劇ファンの女性は、「宮沢さんがどう仕切り直すかを、何が何でも見たくて」と午前9時から最前列に並んだ。

 公演は当初、9日夜から再開の予定だったが延期となり、最終的には3公演が中止。12日には千秋楽を迎える。宮沢の出演はわずかに4公演ながら、女優魂を見せつけたこの日の代役“初日”は、演劇史に刻まれるステージとなるに違いない。

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