競馬脱税男に懲役1年を求刑
競馬で得た所得を確定申告しなかった大阪市の元会社員の男(39)が所得税法違反罪に問われ、外れ馬券の購入費を経費に認めて税額を計算できるかどうかが争われている脱税事件の論告求刑公判が7日、大阪地裁(西田真基裁判長)であり、検察側は懲役1年を求刑した。弁護側は無罪を主張し、結審した。判決は5月23日。
起訴対象の脱税額は実際のもうけを大幅に上回る約5億7千万円となっている。検察側は論告で「外れ馬券が経費にならないことを認識していたのに、本来納税すべきものを新たな馬券購入に充てたのは自業自得だ」と指摘した。
一方の弁護側は「さまざまな種類の馬券を数多く購入し、回収率を上げている。外れ馬券も収入を生む原資になっており、経費に含めるべきだ」と反論。「一生払いきれないほどの課税は違法で、刑事責任を追及する必要はない」と無罪を主張した。
元会社員は2009年までの3年間に計約28億7千万円を馬券購入につぎ込んだ。計約30億1千万円の払戻金を得たため、実質的なもうけは約1億4千万円しかなかった。
所得税法では「収入を生じた行為のために直接要した金額」を必要経費と規定している。大阪地検はこれに基づいて、当たり馬券の購入費約1億3千万円のみを経費として払戻金から差し引き、もうけの20倍に当たる28億8千万円が課税対象に当たると判断して起訴した。
競馬や競輪の払戻金や懸賞の賞金などによる所得は「一時所得」に当たり、一定額以上は課税対象となる。
