小百合、被災地上映で涙…奇跡の本と再会

 女優の吉永小百合(67)が2日、宮城県石巻市のワーナー・マイカル・シネマズ新石巻で主演映画「北のカナリアたち」の上映会を行った。東日本大震災の津波被害に遭った、同市の石巻岡田劇場のがれきの中から奇跡的に、吉永のサイン入り写真集が見つかったことをきっかけに同作の上映会を企画。開催を知った吉永が被災者1100人を招待した。“奇跡の本”と再会した吉永は「胸が締めつけられる。頑張ってほしいという思いです」と目頭を熱くした。

 “奇跡の本”がつないだ石巻とのきずな。劇場からあふれるほど詰めかけた観客を前に、ボロボロになった写真集を目にした吉永は「胸が締めつけられる。頑張ってほしいという思いです」とこみ上げるものを抑えるように言葉を絞りだした。

 上映会開催は、石巻岡田劇場の社長・菅原聖さん(43)の発案がきっかけだった。いすや映写機をはじめ、すべてが流された劇場のがれきから、菅原氏が見つけたのが装飾用のちょうちんと、半分以上のページが無くなった吉永のサイン入り写真集だった。

 奇跡的に残った1冊と「北の‐」が伝える「生きている」というメッセージに心を動かされ、配給の東映に上映会開催を打診したところ、話を伝え聞いた吉永が被災者の招待を申し出た。

 上映会前には、いまだに被害のつめ跡が残る海岸線と更地になった劇場跡を訪れ目に焼き付けた。応募のあった1100人のうち400人は、収容人数をオーバーしたため上映会に参加できなかったが、その代わりに鑑賞券を贈る心配りも見せた。

 その400人を招いた劇場ロビーでのあいさつでは、石巻少年少女合唱隊が劇中歌「あの青い空のように」を披露すると、吉永が「震災があったとき、先生がご苦労なさってお子さんを集められて…。美しい歌声に胸がいっぱいです」と涙した。

 今回の上映会は、総移動距離約1万4000キロに及んだ吉永の「北の‐」全国キャンペーンのゴール地点でもあった。サインを入れた新品の写真集を菅原社長へプレゼントし「ここに来られてよかった。絶対に忘れてはならない。どういうことが皆さんを励ますことになるか、しっかり考えなければ」と熱いまなざしで支援の継続を誓った。

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