柔道元代表の飯田健太郎「一本」勘違いで逆転負け「パニックになった」体重別大会での計量失格に続く失態に落胆…今後は白紙

 全日本選手権の初戦でまさかの一本負けを喫し、ぼうぜんとする飯田健太郎
 全日本選手権の初戦でまさかの一本負けを喫し、ぼうぜんとする飯田健太郎
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 「柔道・全日本選手権」(29日、日本武道館)

 体重無差別で争われ、23年世界選手権100キロ級代表の飯田健太郎(25)=旭化成=は、1回戦で阿部拓馬(山形県警)に3分29秒、横四方固めによる一本負けを喫した。今月の全日本選抜体重別選手権では計量失格となり、強化指定選手から除外される処分を受けた。再起を図る舞台だったが、自らの技を「一本」と勘違いして逆に抑え込まれてしまい、まさかの初戦敗退となった。

 柔道ファン期待の大器がまさかの失態を犯した。飯田はしっかり相手を組み止めると、得意の内股に入り、小内刈りで追いながら場外際で投げ切った。審判は「技あり」を入れたが、飯田は力を抜いてしまい、相手に簡単に抑え込まれた。会場がどよめきに包まれる中、何もできずに15秒が経過。ただ、本来であれば20秒で「一本」となるところだったが、主審が15秒で「技あり」による「合わせ技一本」を宣告してしまった。混乱が生じたものの、審判団の協議の結果、阿部の抑え込みでの一本が認められた。微妙な判定もあったが、飯田は完全な勝ち試合でまさかの逆転負けを喫し、ぼうぜんとしながら退場した。

 飯田は試合後「(自分が)投げた技を一本と決めつけてしまって、寝技で逃げられなかった」と振り返った。審判の「技あり」の声は聞こえなかったというものの、投げた感触や会場の沸き方から「一本」だと自己判断。また、投げ終わった際に場外に出ていたことから、試合が続いていた場合でも「待て」が掛かると思い込んだという。「自分の中では(内股で)完全に決まって、プラス場外に出たという認識があって、(予想外に抑え込まれた)焦りでパニックになった」とうつむいた。

 昨年までは100キロ級でパリ五輪代表の筆頭候補だったが、12月のグランドスラム東京大会で敗退し、落選が事実上決定。再起戦となるはずだった今月の全日本選抜体重別では体重1・8キロオーバーで計量失格となり、ペナルティーとして全柔連の強化指定選手も外された。「自己管理の甘さ」と認め、「(五輪落選を)引きずっている部分があり、モチベーションが低下している部分はある」と正直に苦悩を吐露した。

 恵まれた体格と鋭い技の切れ味で、かつては18歳でGSパリ大会を制したこともある大器。今後は白紙で、100キロ超級への階級転向も含めて熟考するという。「柔道から距離を取りたい気持ちもあって、(今大会も)出場を悩んだ。もう一度、なんで柔道をやっているのか、柔道のどこが好きでのめり込んでやっていたのかを思い出すために、柔道や課題により向き合いたい」と言葉を絞り出した。

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