稀勢の里、行けるぞ!237日ぶり星 9場所ぶり“鬼門”の初日突破「千秋楽まで」

 「大相撲秋場所・初日」(9日、両国国技館)

 左大胸筋負傷などで8場所連続休場から進退を懸けて出場した横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦=が平幕勢(31)=伊勢ノ海=を寄り切りで下し、今年初場所2日目に北勝富士に勝って以来、237日ぶり復帰星を挙げた。昨年春場所で負傷後、出場した4場所ですべて黒星を喫していた鬼門の初日を突破。復活へ向け、大きな一歩を踏み出した。

 国技館が揺れた。満員観衆が「バンザーイ」と両手を上げ、まるで優勝したかのような大歓声。進退を懸けた秋。稀勢の里が237日ぶりに勝った。

 4場所ぶりの本場所。高まる緊張を力に変えた。前回対戦の昨年名古屋場所で不覚を取った勢に無心で当たった。体ごと踏み込み、左を差し、右でつかまえ一気に出た。最後は体ごと相手を寄り切り、自らも吹っ飛ぶド根性の星をもぎ取った。勝ち名乗りを受けると土俵下で目を閉じ、大きく息を一つ吐いた。

 支度部屋でも多くを語らぬ“稀勢節”が戻った。「まあ、集中してやりましたよ」と2度繰り返す。久々の勝利を問われると「今日は今日。明日は明日でやるだけ」と淡々。千秋楽まで土俵人生を懸けた戦いに、気は全く緩めなかった。

 初日は9場所ぶり白星。故障後、出場した4場所はすべて初日に敗れ、その後、途中休場に追い込まれていた鬼門を突破した。

 夏巡業にフル参加し、心身を追い込んだ。場所前の稽古では豪栄道に完敗するなど不安の声も挙がったが「良いところ、悪いところが出たのが良かった」と前向きだった。

 この日朝稽古は場所中には異例の非公開にし、集中力を極限まで高めた。「すべてを懸ける」と覚悟した今場所。「力を出し切り、千秋楽までやる」と腹をくくった。9場所ぶりフル出場で、引退の2文字をはね返す。

 7場所連続休場から復帰した“平成の大横綱”貴乃花親方は「緊張していたがいい相撲だった。顔に自信が見られた。やってやるぞという強い気持ちを感じた。前に出れば力がある」と再起に太鼓判。「休場明けは足の感覚が出ないというか、つかめない。本場所の土俵が稽古のようなものになる」とエールを送った。

 2日目は過去1勝2敗の小結貴景勝戦。「やることをしっかりやるだけ。自分の力を出すだけ」と短い言葉に自信があふれた。行けるぞ、稀勢の里!大復活ののろしは上がった。

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