稀勢の里 復活のろし 史上8人目連覇 初Vで昇進に“綱げた”吉兆大会
「大相撲・全日本力士選手権」(2日、両国国技館)
幕内トーナメントは、左上腕部などの負傷で秋場所を全休した横綱稀勢の里(31)=田子ノ浦=が決勝で平幕豪風を寄り切り、史上8人目の連覇を果たした。昨年の大会で初優勝し、九州場所で好成績を収め、初場所で初優勝&横綱昇進へとつなげただけに吉兆。相撲界で最も高貴な紫色の新まわしも着用し、九州場所(11月12日初日、福岡国際センター)へ向け、復活へののろしを上げた。
4カ月半ぶりの国技館の土俵、万雷の拍手。11日目から休んだ夏場所以来、稀勢の里が戦う舞台に戻ってきた。「楽しかった」。相撲が取れる喜びに全身で浸った。
花相撲とはいえ、再起ロードの大事な一歩だった。1回戦で千代の国(九重)を右上手、左差しで組み止めて寄り切り。続いて大栄翔(追手風)、正代(時津風)、朝乃山(高砂)も盤石の寄りで退けた。決勝では豪風(尾車)を相手に左を固め、右で抱えて一気に出た。全5番を危なげなく勝ち抜いた。
秋場所を初めて全休し、3場所連続休場中。その間、地道に負傷した左上腕部を強化し全身も鍛えた。「体をつくったのが(相撲に)出てきている。(スタミナも)大丈夫。しっかり鍛えてきた。下半身もそうだし、全体が使えている」と胸を張った。
久々の相撲に「胸を借りるつもりでいきましたよ」と笑わせるなどご機嫌。昨年は同大会の初優勝がその後、初優勝&横綱昇進へとつながった。吉兆Vに「いいきっかけ、チャンスを生かす」と再現を目指していく。
締め込みは相撲界で最も高貴とされる紫色を投入。「しっかり慣らして半年、1年間、熟成させて」と、本場所での新調は先になるものの、心機一転の思いを込める。
5日の千葉県八千代市から始まる秋巡業はフル参戦。「秋巡業でいい稽古をして、九州はいい成績が続いている。いい状態で九州に乗り込む」と実りの秋を見据えた。



