「ジャンプの申し子」沙羅、悪条件も克服し今季5勝目

 「ノルディックスキー・W杯ジャンプ」(8日、オーベルストドルフ)

 高梨沙羅(クラレ)が124メートル、129メートルの合計263・0点で優勝、3連勝で今季5勝目、通算49勝目を挙げた。男子のグレゴア・シュリーレンツァウアー(オーストリア)が持つ歴代最多の通算53勝にあと4と迫り、札幌と山形市蔵王での国内開催4連戦に臨む。

 雪が降りしきり、風向きはくるくる変わる。新雪が覆う着地点は滑りやすく、選手の心を揺さぶった。だが、ライバルが苦しんだ悪条件も高梨には無関係だった。「自分のジャンプに集中して飛ぶことができた」と、ただ一人K点(120メートル)越えの飛躍をそろえる安定感が光った。しかも、ともに不利な追い風。ぶれない強さが、いつにも増して際立った。

 横風を受けたという1回目は着地でテレマーク姿勢を完璧に入れられなかったが、最長不倒の2回目は飛型点もまずまず。2位クリネツも「サラを倒すのは大変。尊敬している」と脱帽するしかなかった。

 トレーナーとして高梨を指導する牧野講平氏は別次元のジャンプの要因に「再現力」を挙げる。理想の動きを体に染み込ませ、寸分の狂いなく何度でも再現できる能力は、これまで担当したフィギュアスケートの浅田真央(中京大)や、米大リーグ、ドジャースの前田健太をしのぐという。筋力は高くなく、球技をやらせても腕前は人並み。だから高梨を「ジャンプの申し子」と呼ぶ。

 ジャンプのW杯通算最多勝にあと4と迫り、国内開催での到達を射程内に捉えた。「たくさん応援してくれる人がいる方が楽しく飛べる。(喜びを)周りと共有できる」。無敵の女王はその瞬間へ、心躍らせている。

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