異例の低レベルで男子代表争い大混戦

 「東京マラソン兼リオデジャネイロ五輪代表選考会」(28日、東京都庁~東京ビッグサイト、42・195キロ)

 リオデジャネイロ五輪男子マラソン代表選考会を兼ねて行われたが、日本人トップは一般参加の高宮祐樹(28)=ヤクルト=の8位で、タイムも2時間10分57秒と低調な結果に終わった。日本の有力選手は総崩れ。代表3枠の行方は定まらず、“最強市民ランナー”川内優輝(28)=埼玉県庁=も出場するびわ湖毎日(3月6日、皇子山陸上競技場発着、42・195キロ)の結果次第では、“福士問題”に揺れる女子マラソン同様、大混乱に陥る可能性が出てきた。

 無欲のまま、日本人トップでゴールした高宮の無邪気なコメントが、男子マラソンの低迷ぶりを際立たせた。「なんか走ってたら、(日本人)トップだった。ビックリしてます。(五輪代表は)全然考えてなかった。タイムが全然なので、選ばれたらラッキーぐらいの気持ち」。高速レースとして近年では日本人選手も好タイムをマークしてきた東京マラソンだったが、まさかの大凡戦に終わった。

 初マラソンで果敢な走りが目立った若手、大学生の奮闘は、20年東京五輪に向けた光明といえるが、リオ五輪代表選考の面では、異例の低レベルでの混戦となった。今大会の結果で福岡国際で2時間8分56秒をマークし、日本人トップの3位だった佐々木悟(旭化成)が1番手に浮上したが、その他の選手は2時間10分すら切れず、どんぐりの背比べ状態。10代日本最高をマークした下田裕太、3位の一色恭志を指導する青学大の原晋監督は「下田を五輪で走らせるべき。19歳で伸びしろは抜群。20年東京五輪から逆算して、下田を大本命の候補くらいに挙げるべき」と主張したが、日本陸連の酒井強化副委員長は「将来性は選考要項に入っていない」と一蹴。ただ、他の選手はそれ以上に決め手に欠ける。

 そして、あの公務員ランナーの存在が混迷に拍車をかける。最終選考会のびわ湖には“最強市民ランナー”の川内優輝(埼玉県庁)もエントリー。選考基準では複数の選考会に出場した場合、派遣設定記録の2時間6分30秒を突破しない限り、最初に出場した選考会が優先されるため、福岡で日本人4位の8位に終わった川内は、選考のテーブルに上がるためには派遣設定記録を突破する必要がある。

 しかし、川内が派遣設定に届かずも、福岡や東京の日本人1位を上回るようなタイムで日本人トップとなった場合、果たして東京勢や、びわ湖の日本人2位以下の選手を選べるのか…。酒井強化副委員長は「選考要項では3枠を保障するものではないと書いてある」と、仮にびわ湖も低調に終わった場合、3枠を埋めない可能性も示唆した。

 マラソン五輪代表選考は“福士問題”に揺れる女子に続いて男子も、世論を巻き込んだ大混乱に陥る危険性が出てきた。

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