萩野4冠おあずけも銀「楽しかった」

 「アジア大会・水泳」(23日、仁川)

 決勝が行われ、男子400メートル自由形で今大会4個目の金メダルを狙った萩野公介(20)=東洋大=は2位で、ロンドン五輪覇者の孫楊(中国)が優勝した。北京五輪金メダリストの朴泰桓(24)=韓国=は3位だった。同200メートル平泳ぎは小日向一輝(19)=セントラルスポーツ=が銀メダル、小関也朱篤(22)=ミキハウス=は銅メダルを獲得した。女子400メートル個人メドレーで清水咲子(22)=日体大=が銀メダル。800メートルリレーの日本は2位だった。

 異様な光景だった。レース前、地元の英雄の朴、ロンドン五輪金メダリストの孫へは会場中から大きな歓声が注がれた。その直後に選手紹介を受けた萩野への声援はほぼ日本応援団からのみ。静けさすら漂った。中韓の両国が萩野を真の“敵”と認識した証しだった。

 2強を撃破した200メートル同様、スタートから3つどもえのデッドヒートとなったレースは、最後はロンドン王者の孫が抜け出し、萩野は追いすがったが2位。それでも朴には200メートルに引き続き勝利した。「相手のペースにのみこまれた。経験不足」と振り返ったが、個人メドレーを主戦とする萩野にとって完全な相手の土俵で堂々たる戦いぶり。潜在能力を見せつけ「めちゃくちゃ楽しかった。やはり強い選手と戦うのは楽しい。水泳をやっていて良かった」と子供のように目を輝かせた。

 日本が誇る“水の怪物”は、驚異的なスピードで進化を遂げている。本格的に自由形に取り組み始めたのは大学に入ってから。400メートルは平井コーチいわく「個人メドレーにつながればと思ってやらせている」と、あくまで強化プランの中での参戦だ。そんな中でもトップ級の実力を見せ、世界に衝撃を与えた。

 北島康介を超え、日本男子最多タイとなる1大会4冠は、24日400メートル個人メドレーに持ち越しとなった。「金メダルを目指していく。日本記録はマスト」。次は“本職”で、世界を驚かせる。

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