川内、ナショナルチームに愛のダメ出し
陸上男子マラソン・アジア大会代表の川内優輝(27)=埼玉県庁=が7日、4月に日本陸上連盟が発足させたマラソンナショナルチームのあり方に“愛のダメ出し”を連発した。この日は6日に豪州で行われたゴールドコーストマラソンから帰国。川内は中盤の転倒を乗り越え、日本人トップの3位と健闘したが、他のナショナルチームメンバーが惨敗。選考方法や、メンバーの意識の低さの問題を指摘し、入れ替え制などの導入を提案した。
日本のマラソン界の未来を思うからこそ、黙っていられなかった。それまで自らの走りを熱く振り返っていた川内だったが「ナショナルとして」の思いを聞かれると、口調はさらに熱を帯び、言葉はどんどん過激になっていった。
自身は転倒がありながら2時間11分27秒でまとめ、日本人トップの3位で面目を保った。一方、もう1人ナショナルチームから出場した黒崎(コニカミノルタ)は、他の2人の日本人選手にも大きく遅れをとり、2時間19分台で惨敗。これについて「ナショナルの人間として、非ナショナルには負けられない。僕はそう思っていたけど、ナショナルの人がボロボロにやられている。しかも出るレースを絞ってるのに。20分も掛かってしまえば、市民ランナーの普通の人に負けてしまう。国を代表するチームの人間が、あれでいいのか」と、ぶった切った。
元々ナショナルチームの選考方法から疑問を持っていたという。「(好条件の)今年の東京マラソンで流れに乗って、たまたまサブテン(2時間10分切り)した選手が多く入ってる。もっとコンスタントに結果を残している選手を入れるべき。9分を1回走っただけで、ナショナルチームに入って、メディカルサポートや、五輪選考で優先されるのはおかしい」と、指摘した。
12年の東京マラソンでロンドン五輪代表を逃した際、当時、サブテンを2回しか記録していなかった川内は、ある実業団関係者に「実業団は1度やったことを2度やり3度やる。君はそれができてないから全然駄目だ」と言われたという。その言葉に奮起した川内は、今年には日本人最多となる7度目のサブテンを記録し、今や日本のエースとなった。
“公務員ランナー”として、結果が出なければ批判にさらされることも多い。今も勤務先の高校には「代表として国に傷をつけるような走りをするな」や、「アジア大会でもどうせ活躍できないから辞退しろ」などの殴り書きで書かれたFAXや手紙が届くこともあるという。「恐らく僕がゴールドコーストマラソンで十何番だったら、ボロクソですよ。日本代表は重いですよ。責任が」。誰よりも日の丸の重みを実感しているからこその言葉だ。
現状ではナショナルチームのメンバーは1年ごとに見直される規定になっているが川内は「見直しにしても基準が明確じゃない。結果が出なければ、結果を出した人とすぐ入れ替えるとか考えた方がいい。例えば2回続けて負けたら、2回続けて勝った人と変わるとか。そうなれば、他の選手だって“打倒ナショナル”でモチベーションが上がるだろうし。五輪も近づきますからね。ナショナルの選手は負けられないから緊張感が生まれていいと思う」と、持論を展開。マラソン界の発展のために、より厳しい環境となることを望んだ。
“最強市民ランナー”が放ったド直球な正論は、日本マラソン界に一石を投じるか。





