広島・秋山 まさか落球で勝ち越し許しぼう然 激痛逆転負けCS遠のく6ゲーム差「落とすようなボールではなかったですね」
「広島6-8ヤクルト」(14日、マツダスタジアム)
広島が激痛の1敗を喫した。逆転負けで連勝は3で止まり、3位DeNAとのゲーム差は今季最大の6に拡大。2点を先制した直後の六回に暗転し、秋山翔吾外野手(37)の落球で勝ち越し点を与えるなど一気に5失点した。最下位ヤクルトに3連敗だが、新井貴浩監督(48)はベテランのミスを責めることはなかった。
まさかのプレーにスタンドは悲鳴の後、沈黙した。右翼手の秋山は打球を追うスピードを緩めて後方の飛球に対して半身の体勢でグラブを差し出した。誰もが攻撃へ気持ちを切り替えようとしていた。だが、ボールはグラブに当たって、芝生に落ちた。痛恨の適時失策で勝ち越しの走者が生還。チームは敗れ、CS圏はさらに遠のいた。
「(ボールがグラブに)入りきらなかったというよりは…。まぁ…。落とすようなボール(打球)ではなかったですね」
敗戦の責任を背負ったベテランは何度も言葉に詰まり、ショックを隠しきれなかった。落球があったのは2-2の六回2死一、二塁の場面。飛球を捕っていれば同点止まりだったが、ミスで勝ち越し点を献上。直後に先発のアドゥワは北村恵にも2点適時打を浴び、このイニングだけで一気に5失点した。
秋山は昨年のゴールデングラブ受賞者。昨季は主に中堅を守り、138試合に出場して失策0を誇っていた。それが今季は6月12日・ロッテ戦(ゾゾ)で決勝点献上につながるライナー後逸(記録は三塁打)、7月31日・阪神戦(甲子園)でも捕球体勢に入っていた飛球を落とすミスがあった。
今季はスタメン出場が減り、慣れ親しんだ中堅以外の左翼や右翼での出場が増えている。6月の後逸以降、試合前練習ではただ一人最後まで残って守備練習を徹底していたが、努力と結果が結び付かず、この日のミスは痛すぎるものとなった。
それでも新井監督はベテランのミスを責めなかった。「起用しているのは自分なので」と言葉を選び、「(これからも)ミスを恐れずに思い切ってプレーしてもらいたい」と気丈に話した。
逆転でのCS進出がより厳しくなった1敗。3位・DeNAと6差に開いて、今季の勝率5割以下が確定した。この敗戦の重みはベテランが誰よりも分かっているところだろう。秋山は「守れないと試合に出続けられないというのは、自分が(試合に)出ている時から思っていた」と言った。残りは12試合。挽回できるチャンスもそう多くない。





