広島・森下が開幕投手決定 6年目で初の大役「選んでもらえてうれしい」 新井監督「中心になって引っ張ってみろ」
「広島春季キャンプ」(25日、沖縄)
広島の森下暢仁投手(27)が自身初の開幕投手を務めることが25日、決定した。新井貴浩監督(48)が22日に直接伝えたことを明かし、「中心になって引っ張ってみろよ」という自覚を促すメッセージを込めて強く背中を押した。大卒6年目で大役を任された右腕は喜びと責任感をにじませ、3月28日・阪神戦(マツダ)への決意を語った。
新井監督はさらっと言った。「開幕は森下」。心は決まった。大瀬良、床田、森下の3本柱と、自身が“本命”に挙げ続けた塹江の候補から選んだのは、最も若い27歳の森下だった。
「今年魅せてくれ、中心になって引っ張ってみろよ。やってみろよ、という期待を込めて開幕投手にしました」。主戦投手としての自覚を促し続けてきた右腕に、その成果を見せつける絶好の舞台を与えた。
「開幕投手はチームの顔」と語ってきた森下は初の大役指名を「選んでもらえてうれしい気持ちと、やらないといけないなという気持ち」と受け止めた。
3月28日に対戦する阪神とは通算20試合で7勝7敗。成績は五分だが、最後に対戦した昨年8月10日(京セラ)は9回5安打1失点で完投勝利を挙げており、イメージは悪くない。
この日はキャンプ2度目となるシート打撃に登板し、打者10人に22球を投じて被安打3だった。残り1日となったキャンプを「充実している」と振り返り、「本当に優勝したい。今まで以上の成績を残したい」と強調した。
新井監督が伝えたのは沖縄キャンプ第3クール初日の22日だった。「開幕いくぞ、任せたぞ」と言葉をかけ、森下は気合の入った表情で「頑張ります」と返したという。右腕は今キャンプで自身4年ぶりに初日からブルペン入りし、円陣では声出しも担当。指揮官は行動の一つ一つを先頭に立っていくというメッセージと受け取った。
昨季終了後から、指揮官は森下に関して「物足りない」と口にしてきた。新人だった20年に10勝を挙げたものの、そこからキャリアハイを更新できずにいる。昨季も10勝止まりで、「今年で6年目かな。ここ数年、自分の思っているような数字が出せてないと思うんよね。こちらから見ても持っているもの、力、素材を見たら、まだまだ物足りないと思う」と改めてハッパをかけた。類いまれな潜在能力を認めるからこそ、殻を突き破るきっかけを用意した。
すでに自覚を感じ取っている。「ブルペンでの姿、練習での姿からも、そういうものは感じます」と話し、目尻を下げた。開幕戦までは残り約1カ月。3年目を迎える新井カープは次世代エースの決意みなぎる1球から始まる。




