末包2連発で広島5年ぶりAクラス王手 入団2年目2桁弾は球団10年ぶり 出場減を心配「きょうが勝負だ」
「読売ジャイアンツ3-7広島東洋カープ」(23日、東京ドーム)
広島が連敗を2で止め、自力2位の可能性が復活した。立役者は末包昇大外野手(27)だ。七回に勝ち越しソロを放ち、八回は2打席連発の10号ソロ。プロ初の1試合2本塁打を記録し、四回の適時打も合わせて今季初の猛打賞となった。チームはDeNAと2ゲーム差に広げ、24日にも5年ぶりのAクラスが確定する。
強烈な一撃は、あっという間に左翼スタンドへ突き刺さった。2位死守へ、負けられない戦い。末包が離れ業をやってのけた。耳をつんざく敵地の大歓声が心地よい。「東京のカープファンに2本も届けられてよかった」。プロ初の1試合2本塁打で、チームを勝利へと導いた。
ハイライトは先頭で迎えた七回だ。「速い球をいこうかな」。菅野の初球、内角149キロを思い切り振り抜いた。ライナー性の打球は、すさまじい勢いで左翼席へ着弾。八回2死はビーディの変化球に泳ぎながら、左翼スタンドへ2打席連続の10号ソロをたたき込んだ。
球団で入団2年目の選手が2桁本塁打を記録するのは、13年・菊池以来10年ぶり。「即戦力で取っていただいたので、1年目はダメだったけど早いうちに2桁という数字を出せて良かった」。2本塁打で1軍に定着できなかった昨年からの成長が、頼もしい。
1点を追う四回は同点に追い付き、なおも2死二塁で一時勝ち越しの中前適時打。菅野の外角スライダーに体を投げ出すように反応し、パワーだけでなく技でも快音を残した。昨年の開幕戦以来となる猛打賞。新井監督は「テクニカル的な部分も、相手の配球の読みなども成長してくれている」と満面の笑みだ。
この日から菊池、秋山、上本が1軍に復帰。自身の出番は減ると覚悟していた。「きょうダメだったら、あす以降は(出場が)厳しいかなと。とにかく『きょうが勝負だ』と思って臨んだ」。与えられたチャンスでアピールに成功した。
海の向こうから届いた知らせも、刺激になった。この日、前広島のカブス・鈴木誠也が、メジャーで日本の右打者では初の20本塁打を達成。年始に沖縄県内で合同自主トレを行い、助言をもらった先輩の偉業に「メジャーで20本打つとはすごい」と自身も発奮した。
チームは5年ぶりに巨人戦17勝となり、5年ぶりのAクラスに王手をかけた。「CS、広島開催で待ってます」とファンに呼びかけた末包。伸び盛りの27歳が自慢のバットでさらなる歓喜を起こす。
◆自力2位復活 広島が残り5試合全勝すれば77勝62敗4分けで勝率・554。この日敗れたDeNAは残り8試合全勝しても77勝63敗3分けで勝率・550となるため、広島が上回る。
◆24日にもCS決定 広島が24日も勝てば、残り4試合に全敗でも73勝66敗4分けで勝率・5251。4位・巨人が24日以降全勝しても74勝67敗2分けで勝率・5248で上回らないため、広島の3位以上が確定。広島が24日に敗れた場合、巨人も敗れれば広島のCSが確定する。



