広島・栗林 新井監督の金言 WBC公式球でキャンプ初ブルペン フォーク精度に苦戦も「打者は嫌」
「広島春季キャンプ」(2日、日南)
広島・栗林良吏投手(26)が2日、今キャンプ初となるブルペン入り。WBC公式球を使い捕手を座らせて、カーブ、フォークを交えて46球を投げた。本人は「50%くらい」と話すなどフォークの精度に不満顔だったが、新井貴浩監督(46)からの金言で前向きに捉えた。世界一奪還へ迷いが一つ消えた。
1球1球、「ヨシッ!」と声が出る。周りより早い仕上がりぶり。栗林のボールに視線が集まっていった。
11球目からはカーブ、22球目からはフォークも試す。が、納得がいかない。「フォーク!」、「もう1球!」と4球連続で落ちるボールを投げたが首をかしげた。
全46球中、カーブは6球、フォークは9球。NPB球に比べて扱いづらいWBC球に手を焼いた。弾道測定機器ラプソードでもどの球種も数値は劣るという。
「広島で投げたときも石原から“フォークが全然弱い。たぶん打たれますよ”という感じだった。シーズンよりも弱い。チェンジアップ気味に来ている。角度のあるフォークにしないといけない。リリースの感覚は全然違うので、投げているというか、飛んでいっているというか。指のかかりが少ないのかなと思っています」
ボールに苦戦している様子を正直に吐露した。そんなとき新井監督が歩み寄り、助言をくれた。
「新井さんは『上から投げて打点が高いから真っすぐとフォークの見分けがつかない』。フォークはインコースに行くことが多かったんですけど、『打者は嫌だと思うから、そんなに気にしなくてもいい』と言ってもらいました」
理想の軌道を描いていないからといって、打ち取れないわけではない。打者目線での感じ方を話してもらい楽になった。
「すごく貴重な意見だし、自分のためになる。きょう、そういう意見をもらえてすごく良かったと思います」
もちろん、これから投げ込む中で宝刀フォークの精度を上げていく。ただ、完璧を求めて自分を追い込むだけでなく、打者目線で考えることの大事さも理解できた。
今クールでは4、5日にブルペン入り。次クールではフリー打撃に登板予定。3月9日の本番に向けて急ピッチで仕上げていく。
「WBCで、世界一になることが今の目標なので、そこに向かって、今はしっかり挑戦したいと思います」
指揮官からの金言を胸に世界一奪還へ向かう。