広島・ドラ1森下、マル秘カーブ習得の道のり明かした 30キロの緩急差でセ界斬る
広島のドラフト1位・森下暢仁投手(22)=明大=がカーブ習得への道のりを明かした。縦に大きく割れる変化球は大きな武器。150キロ台の直球との球速差は30キロ以上もある。緩急を使った投球が特長の一つ。遅球を操りながら、プロの猛者たちを牛耳っていく。
強いブレーキが利き一瞬、浮き上がるような遅球でプロの打者を翻弄(ほんろう)する。直球との球速差は30キロ以上だ。森下にとってカーブは重要な球種。投球を組み立てる上で決して欠かすことができない。
「カーブが決まれば楽。緩急をつけるためにも必要なんです。打者から見て、浮くようなイメージをつけられたらいい」
リリースの瞬間、球を抜くのではない。「真っすぐと反対の回転を与えるイメージです」。バックスピンをかける直球とは真逆の発想だ。縫い目にかけた親指で強くはじくことで回転数の多いトップスピンを与え、鋭く縦に落ちる軌道を生み出している。
大分商時代に投げていたカーブは、一般的な斜めに弧を描くものだった。現在のような縦に大きく割れるカーブは、明大進学後に会得した。「(周囲から)『アメリカ代表に対しても効くから』と言われた。大学日本代表に入るためにもカーブは必要だった」と振り返る。
大学入学当初、投球の基本は直球とカットボールだった。世界と戦うためには緩急を使った投球が不可欠。寮で同部屋だった3学年先輩の中日・柳の投げ方を参考にしながら磨きをかけてきた。
春季キャンプインから2カ月が経過した。プロでもカーブの必要性を強く実感している。苦い記憶は3月15日のソフトバンクとのオープン戦(マツダ)だった。4回を投げ、プロ初被弾を含む7安打5失点。昨季の日本一チームからプロの洗礼を浴びた。
「カーブが1球もストライクが入らなかった」。ストライクが取れる球種が限られる中での勝負を余儀なくされた結果だった。
マツダスタジアムでの全体練習では、約30メートルの距離を取り、カーブで遠投する日もあった。「回転の軸を確かめるため」。大事な球種だけに修正方法は確立している。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕時期は白紙となった。開幕ローテを勝ち取った右腕の初陣はまだ見えない。それでも、開幕後はカーブを自在に操りながら、白星を重ねていくはずだ。