北別府氏が無菌室から後輩にエール 練習試合も「プロの矜持を持ち手本となる姿を」

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けてプロ野球の開幕は、4月10日以降になった。20日からは本来公式戦だったカードを中心に練習試合が組まれている。広島は4月5日まで12試合の練習試合を予定している。開幕が延びたことによってこの練習試合をどう生かすか、広島の元エースで通算213勝を挙げたデイリースポーツ・ウェブ評論家の北別府学氏に聞いた。

 北別府氏は「開幕にきちんと照準を合わせてきた選手にとっては、この延期は非常に難しい調整が必要。しかし、調整を誤り仕上がっていなかった選手にとってはチャンスと捉えて延期で開幕を待ち望んでいるファンの方々に最高の姿を見せてほしいものです。私自身も経験がないことで、開幕が延期になるという非常事態、素晴らしい野球をすることで皆さんに勇気、元気を出してもらえるよう頑張ってほしい。選手は開幕にキャンプから照準を合わせて調整していますから、延期で調子を落とさずにというのは非常に難しい面もあります」と、選手の気持ちを思いやった。

 その中で「しばらくは練習試合となりますが、この間は今まで調整してきたことを全て出すべき正念場と捉えて乗り切ってほしい。相手も主力クラスが出てくるので、シーズンと同じ形で臨むのがいい。そこでうまくスタートを切れれば、いつ開幕してもバタバタしないだろう」と話した。

 加えて「調子の悪い投手は投げ込み、走り込み、遠投などいつものシーズンだったらできない調整もできる。開幕が延期という事態になり精神的にイライラもすることもあるだろうが、そこはプロの選手としての矜持(きょうじ)を持ち、手本となるような姿を見せてほしい」と願った。

 また、オープン戦最終戦の15日・ソフトバンク戦(マツダスタジアム)で4回7安打5失点のドラフト1位・森下暢仁投手(22)=明大=についても言及した。「四球を連発するとか、どうにもならない投球ではなかった。走者を背負って高めにいった球を打たれた。シーズン中にもあることだし、私の現役時代も3月に入ってオープン戦で投球回数を増やしていく中で、完璧だった年はない。おきゅうをすえられれば何が悪かったか考える」と、打たれたことを前向きに捉えていた。

 北別府氏が投手コーチを務めていた2003年、同氏の現役時代の背番号20を継承した永川勝浩投手(現2軍コーチ)が入団。フォークが持ち味で通算165セーブを挙げた右腕の投球を思い出し「1年目の最初はプロの打者がホームベースの1メートルくらい前のワンバウンドを振っていた。『プロ野球のバッターをナメとるじゃろ』と聞いたら『はい』と答えていたが、そのボールを後半に入ったら振ってくれなくなった。プロはチームで統一して研究してくるから振らない。永川にしても、いったん立ち止まって考えるいい経験だったと思う」と、プロで成功するためにはどこかで立ち止まる必要を説いた。

 森下に「次が大事だよね」と先発が予定されている22日の投球に期待した。「練習試合だけど、負けがついていいではなく、結果を残していくことが必要。無観客で盛り上がらないけど、真剣勝負。周囲はいろいろ言うだろうけど、次の先発で頑張れば大丈夫」とエールを送った。

 1月に成人T細胞白血病であることを公表した北別府氏は現在、治療の第2クール終盤を迎えている。治療で白血球数が減少し抵抗力が低下しているため無菌室治療を行っている。

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