「ＤｅＮＡ６－１広島」（２７日、横浜スタジアム）

　５連勝を逃した一戦で、広島・安部友裕内野手が存在感を示した。２安打１打点と躍動。力強いスイングからチームで唯一となる複数安打を記録した。２試合連続での先発起用にしっかりと応える打撃だ。

　０－１の二回２死から鈴木が左前打で出塁して迎えた打席。井納の初球、浮いた直球を見逃さなかった。「とにかく甘い球が来たら振りにいくつもりだった」。攻めの打撃で、右翼線を破る適時三塁打を放った。八回にも真ん中に入った初球のスライダーを、右前にはじき返した。

　首位を走る要因となっている上位打線が、この日は沈黙。１番・田中から５番・エルドレッドまでの上位５人が１安打に抑えられた。「嫌なイメージはないんだけど…。甘い球はあったけど捉えきれなかった。（黒田を）援護できなくて申し訳ない」と石井打撃コーチ。その中で残した結果だけに、評価は高まるばかりだ。

　ルナが故障で離脱した後、三塁は先発投手によって日替わり。左投手のとき、安部はベンチスタートになる。いずれは左右に関係なく、スタメンとしてグラウンドに立ちたい気持ちを強く持つ。「常にラストチャンスの気持ち。悔いの残らないようにやっている」。胸に抱く強い危機感。それが原動力になっている。