小窪1号!不振の男やっと起死回生弾
「中日3-6広島」(13日、ナゴヤドーム)
気持ちを乗せた白球は、左翼スタンドに到達した。「いけッ、いけ!!」-。祈りにも似た絶叫が歓喜に変わる。出場20試合目、22打席目で生まれた待望の1号。代打の切り札、広島・小窪哲也内野手(31)が今季2度目のスタメンで、値千金の同点2ランを放った。
初回、三回と得点圏に走者を進めながら、あと一本が出ない中で迎えた四回。1死一塁で打席に立った。フルカウントから4球、ファウルで粘って10球目だ。真ん中に甘く入った139キロ直球を、左翼スタンドに運んだ。粘り勝ちの一発だ。
「力強く振り抜けました。三振はしたくなかったので、後ろにつなぐ気持ちでした」
オフに選手会長就任。経験者の黒田、新井から「お前がやらなきゃダメだ」と説得された。若手とベテランが融合する中で「僕ら中堅が頑張らないと」と再建を一手に担う。新井の2000安打応援Tシャツも発案。好調チームの中心に、なくてはならない存在だ。
一方で、代打の切り札としては今季、この試合前まで19打数2安打、打率・105となかなか結果が出なかった。出番が減ってきた中、崖っぷちで見せた意地の一発。「続けられるように頑張ります」と汗をぬぐった。鯉の切り札復活。接戦を制したチームに、大きなピースが戻ってきた。




