松山V弾“藤浪キラー”がCSグイッ
「阪神0-6広島」(4日、甲子園球場)
打球の行方を目で追う必要はなかった。広島・松山は、バットを高く放り投げ、ゆっくりと一塁へ歩を進めた。CS出場へ向け負けられない大一番で放った決勝7号2ラン。「会心の当たりです。気持ち良かった」。強い思いも追い風に、右翼席に突き刺さした。
甲子園の夜空を切り裂いた。0-0の四回無死一塁。藤浪の高めに浮いた内角のカットボールを見逃さない。「コンパクトに鋭く振り抜くことだけを考えていた」。バットの芯で捉えた。白球は弾丸ライナーとなって右翼ポール付近へ着弾した。初回にも右前打を放ち、藤浪から2安打1本塁打2打点。今季の対藤浪は12打数7安打、打率・583だ。
9月3日の無念を乗り越えた。甲子園での阪神戦。“藤浪キラー”として「3番・一塁」でスタメン出場したが3連続三振。若虎右腕に白星を献上した。
「リベンジしたいと思っていた。あの試合は大振りし過ぎてダメだった。相性がいいのは自分でも分かっているので、楽な気持ちで打席に入った」。負けられないという重圧は「なかった」。前回の反省を生かし、コンパクトに振り抜くことだけに集中して結果を残して見せた。
黒田の姿にも奮い立った。直前の三回、見逃し三振に倒れた背番号「15」はファウルで粘り、藤浪に13球を投げさせた。「本当にすごいなと。男気を前面に出していたので、僕もやらないといけないと思った」。勝利への強い執念が伝わってきた。燃えない訳にはいかなかった。
CS出場へ王手を掛けた。7日、地元最終戦でもある中日戦に勝利すれば、2位巨人への挑戦権を手にする。「勢いはこっちにある。何とかCSへの出場権を勝ち取りたい」。打線に推進力をもたらした。止まることはない。松山が最後まで緒方鯉をけん引する。




