佐々岡コーチが語る必殺カーブの極意

 今季から広島の2軍投手コーチを元エースの佐々岡真司氏が務める。現役時代の佐々岡コーチの代名詞と言えば、縦に大きく割れるカーブだ。入団当初は直球とスライダーで活躍したが、緩急を使うことの重要性に気が付きカーブを投げ始めた。通算138勝106セーブ。さらに江夏豊以来史上2人目の先発100勝100セーブという偉大な記録は、このカーブなしでは語ることができない。現在は若鯉たちを育てる一貫として、これを伝授している。

 縦に鋭く落ちたカーブ。投げるときのイメージは「直球の反対」だという。「直球は指で球をはじいて強いバックスピンを掛ければ、それだけキレが増す。カーブはその反対。前方向に、強い縦回転をつけてやればいいだけ」。エース前田も「それはずっと思っていたこと」と佐々岡コーチと同じイメージだった。

 「しっかり握ってボールを切る感覚」。人さし指は浮かせ、中指と親指と薬指でガッチリと握る。そしてリリース時は、手首をひねりながら球を中差し指と親指で球をはじくことで、強い縦回転を与えるのだ。カーブの投げ方は千差万別だが「抜く感覚で投げる」という選手が多い。佐々岡コーチは違った。中学生のころ就寝前に人さし指と親指で球を挟み“指パッチン”。どれだけ球が真上に上がるかが楽しみだった。遊びの中で磨いてきた球をはじく感覚が、独特のカーブの原点だ。

 150キロを超える投手が増えてきた現在のプロ野球界。それに伴い、打者のレベルも格段に上がってきた。打者を抑えるためには「やはり緩急を使ってタイミングを外すことが重要」と佐々岡コーチは言う。変化球の主流もカットボール、ツーシームなど直球系。球速が遅いカーブは、タイミングを外すには何より有効な球種の1つになる。

 「カーブを覚えることは簡単ではないが、少しずつでも投げられるようになってくれればいい」。プロ18年を戦い抜いた武器が、若鯉の飛躍のカギになる。(デイリースポーツ・市尻達拡)

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