マエケン7回0封!今季MAX150キロ

 「広島13-1巨人」(5日、マツダ)

 広島の前田健太投手(27)が巨人を7回4安打無失点に抑え、今季3勝目を挙げた。初回に10点を奪うなど味方の大量援護の中、最後まで安定した投球を披露。チームは5戦目で火曜日初勝利だった。エースの次回登板は12日・巨人戦。今度は敵地・東京ドームで再び宿敵と対戦する。

 お立ち台からスタンドを眺めた。赤い鯉のぼりが揺れ、子供たちの笑顔が見える。5月5日の「こどもの日」。自身も愛娘のパパである前田が7回4安打無失点で巨人を封じ、チームを1カ月ぶりの連勝に導いた。

 課題の立ち上がりをしのいだ。初回2死からアンダーソン、大田に連打を浴び、一、二塁のピンチ。ここでフランシスコを迎えたが、フルカウントから外角低めのカーブで空振り三振を奪った。

 序盤に味方の大量援護を受けた前田だが、力を緩める気配はなかった。圧巻は五回だ。先頭の実松を空振り三振に抑えると、続く代打長野は今季初の150キロの直球で見逃し三振に。最後は金城を内角低めのカーブで3者連続三振斬り。鯉のぼりの季節に、状態も“のぼり”調子だ。

 桑田、イチロー、松坂にあこがれた少年時代。ただこどもの日の思い出は「全くない」という。小学3年から始めた野球。“前田少年”にとって5月5日は普段と変わらぬ「野球の日」だった。「子供のころは祝日が嫌いだった。休みの方が練習時間が長くなる」。だから「思い出はゼロ」と苦笑いを浮かべる。

 その苦しんだ日々が、現在のエースの礎となっている。「投手は守備も走塁も打撃もすべてが大事。投げる以外もおろそかにしたくない。僕はいい投手より、いい野球選手であり続けたい。すべてを極めたい」。今もまだ進化の途中だ。

 この日の“前田画伯”の絵は「こどもの日バージョン」だ。ファンに贈呈するTシャツに描いたのは鯉のぼり。お立ち台で一緒に上がった新井から「サメにしか見えない」と突っ込まれても「うまく描けている」と笑顔。こちらも進化の途中だ。

 「僕がそうだったように、これからも子供たちから、あこがれの存在でありたい」。前田はこれからもマウンドから夢と希望を届ける。

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