広島・新井“思い出の地”松山は好相性

 「ヤクルト(降雨ノーゲーム)広島」(14日、松山)

 広島・新井貴浩内野手(38)が思い出の地での“仕切り直し打”を誓った。この日のヤクルト戦(松山)に「5番・一塁」で2試合ぶりにスタメン出場も、二回裏終了降雨ノーゲーム。松山は02年に初出場した球宴で本塁打を放った球場で、シーズンでも相性がよかったが、天気には勝てなかった。仕切り直しとなる15日の一戦。チームを勝利に導く一打を放ってみせる。

 本当に楽しみにしていた。試合開始1時間前。試合中に強い雨が降ることが予想されると伝え聞いた新井は、「それは嫌だなあ」と心配そうに表情を曇らせた。「松山は好きなんです。個人的にも(球場の)雰囲気とかが好きなんです」と理由を説明した。

 残念ながら、その心配は現実のものとなった。「5番・一塁」で2試合ぶりのスタメン出場。初回2死一、二塁の好機では、成瀬の前に遊飛に倒れた。次の打席こそは…。しかしその思いはかなわなかった。開始直後から強まった雨脚は衰えず二回裏終了後、ノーゲームが決定した。

 松山には思い出が詰まっている。02年7月13日のオールスター第2戦。球宴に初選出された新井は七回、日本ハム・隼人から左中間席へ球宴第1号を放った。左から右への強風をものともしない強烈な一撃だった。

 その球宴直前の7月10日、広島の松田耕平前オーナーが他界した。新井は「先代のオーナーが亡くなって、喪章をつけて打ったのを、すごく覚えています」と振り返った。

 松山の思い出は、球宴だけにはとどまらない。シーズン中も過去14試合で52打数19安打2本塁打、打率・365と好成績をマーク。阪神時代の13年5月12日のヤクルト戦では、八回に松岡から決勝の左越え2ランを放っている。

 降雨中止となったこの日の試合後、新井はさばさばとした表情で帰りのバスに向かった。「これは仕方がない。(次戦へ)試合に入る準備だけはしっかりしたい。頑張ります」と切り替えた。

 15日のヤクルト先発は右腕の石山だが、新井は11日・阪神戦(甲子園)で右腕のメッセンジャーから決勝打をマークしており、スタメンで起用される可能性はある。思い出の地・松山で、新たな一撃を記憶に刻み込んでみせる。

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